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吉田志門&碇大知・藤村実穂子&リーガー・三上亮&川島基

  • 執筆者の写真: 池田卓夫 Takuo Ikeda
    池田卓夫 Takuo Ikeda
  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

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日本のインディーズレーベル、そろい踏み!
日本のインディーズレーベル、そろい踏み!

「いちばんすきなひとに 木下牧子歌曲集」

テノール=吉田志門、ピアノ=碇大知

● 木下牧子:抒情小曲集~第2曲『ほんとにきれい』、第1曲『うぐいす』

● 木下牧子:六つの浪漫~第6曲『ほのかにひとつ』

● 木下牧子:愛する歌~第8曲『さびしいカシの木』、第4曲『きんいろの太陽がもえる朝に』、第3曲『海と涙と私と』

● フォーレ:無言歌集 Op.17~第1番変イ長調

● 木下牧子:花のかず~第1曲『花のかず』、第7曲『竹とんぼに』

● 木下牧子:秋の瞳~第5曲『秋のかなしみ』、第9曲『空が凝視ている』

● フォーレ:無言歌集 Op.17~第2番イ短調、第3番変イ長調

● 木下牧子:六つの浪漫~第3曲『草に寝て・・・』

● 木下牧子:いちばんすきなひとに~第1曲『僕はまるでちがって』、第2曲『また昼に』、第3曲『二人の詩』、第4曲『忘却』、第5曲『しぬまえにおじいさんのいったこと』

(ボーナストラック)

● フォーレ:消え去らぬ香り Op.76-1

● 木下牧子:おんがく


2025年4月、鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンのJ・S・バッハ「マタイ受難曲」演奏会でベルリン在住の若い日本人テノール、吉田志門が見事な福音史家(エヴァンゲリスト)デビューを飾った。東京藝術大学からミュンヘン音楽大学修士課程を修了、2020年にベルリンのRIAS室内合唱団初の日本人メンバーとなった。てっきりドイツ音楽のスペシャリストと早合点していたら現代の日本語の「うた」作曲の第一人者、木下牧子の作品を中心としたディスクがリリースされ、びっくりした。長年のデュオ・パートナーの碇大知と日本国内3か所と回ったツアーでは木下の「いちばんすきなひとに」をメインに据え、作曲者に3日間の事前レッスンを願い出たという。ディスクは2024年1月7〜9日、ベルリンのオリーヴ山教会スタジオで改めてセッション録音したもので、ところどころにフォーレが顔を出すのも面白い。吉田は宗教音楽の担い手らしく、純度の高い発声で際立つが、よく聴き取れる日本語の美しさはうれしい驚きだった。最近の日本歌曲のディスクとして出色の1枚だ。

(ライヴノーツ=ナミ・レコード)


「歌曲集 Lieder」

メゾ・ソプラノ=藤村実穂子、ピアノ=ヴォルフラム・リーガー

モーツァルト:

● 静けさは微笑み K.152

● 喜びの鼓動 K.579

● すみれ K.476

● ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼く時 K.520

● 夕べの想い K.523

マーラー:

● 歌曲集『さすらう若者の歌』

ツェムリンスキー:

● メーテルリンクの詩による6つの歌 Op.13

細川俊夫:

● 2つの日本の子守唄

ツェムリンスキー:

● 子守唄

● 春の日 Op.2 第2集 第1曲

● 夜のささやき Op.2 第1集 第3曲


「これまでにドイツ語圏の作曲家の作品を4枚、オーケストラとの共演2タイトルをリリースしてきた藤村ですが、今回初となる日本語作品を収録しました。細川俊夫による声とピアノのための編曲作品『2つの日本の子守唄』は、藤村実穂子の委嘱により作曲され、22023年の日本ツアー初日となる2023年4月16日、水戸で初演されました」(フォテックの資料より)。藤村はドイツ語圏で活躍する日本人歌手として吉田志門の先輩格に当たるが、やはり日本歌曲のイメージは希薄だった。2023年10月2日、静岡県の浜松アクトシティ・コンサートホールの演奏を収めたリサイタル・ライヴ盤に聴く日本語はモーツァルト、マーラー、ツェムリンスキーの水際立ったドイツ語と負けず劣らず素晴らしい。まだまだ未知の領域を秘めたアーティストだ。細川が編曲した日本の子守唄は熊本県民謡「五木の子守唄」と東京都民謡「江戸の子守唄」の2曲。リーガーのピアノも藤村の声と音楽を知り尽くしている。

(フォンテック)


「The Edgeー始まりと地平」

ヴァイオリン=三上亮、ピアノ=川島基

● ハチャトゥリアン/ハイフェッツ編:バレエ音楽『ガイーヌ』~剣の舞 (1942/1948)

● サラサーテ:スペイン舞曲集~アンダルシアのロマンス (1879)

● サラサーテ:スペイン舞曲集~サパテアード (1880)

● クライスラー:ウィーン奇想曲 (1910)

● クライスラー:中国の太鼓 (1910)

● ドビュッシー/ハルトマン編:前奏曲集 第1巻~亜麻色の髪の乙女 (1910)

● ドビュッシー/ショワネル編:子供の領分~ゴリウォーグのケークウォーク (1908/1909)

● ポンセ/ハイフェッツ編:エストレリータ (1913/1923)

● ヴィターリ/シャルリエ編:シャコンヌ ト短調 (1660)

● エルンスト:6つの多声的練習曲~夏の名残のバラ (1850)

● ドヴォルザーク/クライスラー編:ユモレスク集~ユモレスク第7番 (1894/1910)

● ブリテン:組曲 Op.6~I. 行進曲/II. 子守歌/III. ワルツ

● チャイコフスキー/アウアー編:弦楽四重奏曲第1番~アンダンテ・カンタービレ (1871)

● イザイ:子供の夢 (1894)


三上亮はかつて札幌交響楽団でコンサートマスターを務め、現在は広島交響楽団首席客員コンサートマスターのかたわらソロ、室内楽でも幅広く活躍しているヴァイオリニスト。自身の音楽人生の〝鏡〟として、長く弾きこんできた小品の数々を1枚のディスクに凝縮した。「端正でありながら濃密」の不思議な印象を受け、一気に聴き進んでしまう。東京音楽大学教授のピアニスト、川島基によるサポートも万全だ。

(ALM=コジマ録音)

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