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  • 執筆者の写真池田卓夫 Takuo Ikeda

ディアギレフ・ガーディナー・矢部達哉

クラシックディスク・今月の3点(2022年3月)


「ディアギレフ バレエ・リュス」

《CD1:シーズン1909年》

ニコライ・チェレプニン:バレエ音楽「アルミードの館」Op.29

[演奏]ヘンリー・シェク(指揮)モスクワ交響楽団

[録音]XI.1994, Mosfilm Studio, Moscow [音源]Marco Polo

《CD2:シーズン1909 -1910年》

ボロディン(R=コルサコフ&グラズノフ編):「だったん人の踊り」

R=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」Op.35

[演奏]小澤征爾(指揮)シカゴ交響楽団

[録音]June & July 1969, Medinah Temple, Chicago

《CD3:シーズン1910年》

アダン:バレエ音楽「ジゼル」(ビュッセル編)

[演奏]ロバート・アーヴィング(指揮)フィルハーモニア管弦楽団

[録音]29-30.V.1961, Abbey Road Studio No. 1, London

《CD4:シーズン1910年》

シューマン:「謝肉祭」Op.9

(アレンスキー、グラズノフ、クレノフスキー、ペトロフ、

R=コルサコフ、カラファーティ、チェレプニン、リャードフ、

ヴィンクラー、ヴィートリス、ソコロフ、による管弦楽編曲版)

[演奏]ロバート・アーヴィング(指揮)フィルハーモニア管弦楽団

[録音]7 & 10.IV.1959, No. 1 Studio, Abbey Road, London

※ 2021年 24bit/192kHzリマスター音源使用

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」

[演奏]小澤征爾(指揮)ボストン交響楽団

[録音]30.IV.1983, Symphony Hall, Boston

《CD5:シーズン1911年》

チェレプニン:バレエ音楽「ナルシスとエコー」Op.40

[演奏]ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指揮)

ハーグ・レジデンティ管弦楽団、ハーグ室内合唱団

[録音]1998, Dr Anton Philipszaal, The Hague [音源]CHANDOS

ウェーバー(ベルリオーズ編):「舞踏への勧誘」

[演奏]アンドレ・クリュイタンス(指揮)パリ音楽院管弦楽団

[録音]29-30.XI & 1.XII.1965, Salle Wagram, Paris

《CD6-7:シーズン1911年》

チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」Op.20(全曲版)

[演奏]アンドレ・プレヴィン(指揮)ロンドン交響楽団

[録音]26-28.V & 8-10.VI.1976, Kingsway Hall, London

《CD8:シーズン1911年》

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)

[演奏]サイモン・ラトル(指揮)バーミンガム市交響楽団

[録音]X.1986, Arts Center, Warwick

デュカス:舞踏詩「ラ・ペリ」

[演奏]ジャン・マルティノン(指揮)フランス国立放送管弦楽団

[録音]21.IX.1971, Maison de l’O.R.T.F., Paris

ドビュッシー:「牧神の午後への前奏曲」

[演奏]サイモン・ラトル(指揮)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

[録音]17-19.IX.2004, Philharmonie, Berlin

《CD9:シーズン1912年》

バラキレフ:交響詩「タマーラ」

[演奏]ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)フィルハーモニア管弦楽団

[録音]13.XII.1954, Kingsway Hall, London

※初CD化、2021年 24bit/192kHzリマスター音源使用

ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(全曲)

[演奏]アンドレ・クリュイタンス(指揮)パリ音楽院管弦楽団

[録音]1 & 4-8.VI.1962 Salle Wagram, Paris

《CD10:シーズン1913年》

ドビュッシー:舞踏詩「遊戯」

[演奏]アンドレ・クリュイタンス(指揮)パリ音楽院管弦楽団

[録音]11, 12 & 14.IX.1963, Salle Wagram, Paris

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

[演奏]イーゴリ・マルケヴィチ(指揮)フィルハーモニア管弦楽団

[録音]10, 12-13.I.1959, No. 1 Studio, Abbey Road, London

フローラン・シュミット:バレエ音楽「サロメの悲劇」組曲

[演奏]ジャン・マルティノン(指揮)フランス国立放送管弦楽団

[録音]13-14.X.1972 , Salle Wagram, Paris

《CD11:シーズン1914年》

R.シュトラウス:バレエ音楽「ヨゼフ伝説」Op.63

[演奏]ルドルフ・ケンペ(指揮)ドレスデン・シュターツカペレ

[録音]III.1974, Lukaskirche, Dresden

ストラヴィンスキー:歌劇「うぐいす」

[演奏]ナタリー・デセイ(ソプラノ:夜鳴きうぐいす)

マリー・マクローリン(ソプラノ:料理人)

ヴィオレータ・ウルマーナ(アルト:死神)

ヴィセヴォロド・グリヴノフ(テノール:漁夫)

アルベルト・シャギドゥリン(バリトン:中国の皇帝)

ロラン・ナウリ(バリトン:従者)

マキシム・ミハイロフ(バス:僧侶)、他

パリ・オペラ座管弦楽団&合唱団

ジェイムズ・コンロン(指揮)

[録音]6-9.II.1999, Maison de l’Orchestre National d’Ile-de-France, Alfortville

《CD12:シーズン1916年》

R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」Op.28

[演奏]ロリン・マゼール(指揮)フィルハーモニア管弦楽団

[録音]19, 25 & 28.VI.1962, Kingsway Hall, London

フォーレ:パヴァーヌ Op.50

[演奏]アルミン・ジョルダン(指揮)ローザンヌ室内管弦楽団

[録音]XI.1981, Salle Paderewsky, Lausanne

トマジーニ:バレエ音楽「上機嫌な婦人たち」組曲(原曲:D.スカルラッティ)

[演奏]イーゴリ・マルケヴィチ(指揮)フィルハーモニア管弦楽団

[録音]13.V.1957, No. 1 Studio, Abbey Road, London

ストラヴィンスキー:交響的幻想曲「花火」Op.4

[演奏]エリアフ・インバル(指揮)フィルハーモニア管弦楽団

[録音]V.1990, Blackheath Concert Hall, London

リャードフ:交響詩「キキーモラ」Op.63、交響詩「バーバ・ヤガー」Op.56

[演奏]ドミトリー・キタエンコ(指揮)ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団

[録音]Grieghallen, Bergen, Norway, 20-23.II.1991

サティ:バレエ音楽「パラード」

[演奏]ミシェル・プラッソン(指揮)トゥールーズ・カピトール国立管弦楽団

[録音]8-10 & 15.VI.1988, Halle-aux-Grains, Toulouse

《CD13:シーズン1919年》

ロッシーニ/レスピーギ:バレエ音楽「風変わりな店」組曲

[演奏]アルチェオ・ガリエラ(指揮)フィルハーモニア管弦楽団

[録音]V,1959, Kingsway Hall, London

※ 2021年 24bit/192kHzリマスター音源使用

ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」

[演奏]ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(ソプラノ)

フィルハーモニア管弦楽団

ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス(指揮)

[録音]1963, Kingsway Hall, London / IV.1964, Studio No. 1, Abbey Road, London

《CD14:シーズン1920年》

ストラヴィンスキー:交響詩「ナイチンゲールの歌」

[演奏]ピエール・ブーレーズ(指揮)フランス国立管弦楽団

[録音]VI.1981, Studio 103, Radio France, Paris

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「プルチネルラ」

[演奏]イヴォンヌ・ケニー(メゾ・ソプラノ)、

ロバート・ティア(テノール)、ロバート・ロイド(バス)

ネヴィル・マリナー(指揮)アカデミー室内管弦楽団

[録音]6-7.XI.1981 & 30.VII.1982, No.1 Studio, Abbey Road, London

《CD15-17:シーズン1921年》

チャイコフスキー:バレエ音楽「眠れる森の美女」(全曲版)

[演奏]アンドレ・プレヴィン(指揮)ロンドン交響楽団

[録音]IV-VI.1974, No.1 Studio, Abbey Road, London

プロコフィエフ:バレエ組曲「道化師」

[演奏]クラウディオ・アバド(指揮)ロンドン交響楽団

[録音]II.1966, Kingsway Hall, London [音源]Decca

《CD18:シーズン1922年》

ストラヴィンスキー:ブルレスク「きつね」

[演奏]ジュール・バスタン(バス)、エリック・タピー(テノール)、

フィリップ・フッテンロッハー(バリトン)、他

シャルル・デュトワ(指揮)楽器アンサンブル

[録音]17-18.XII.1972, Koeniz, Switzerland

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「結婚」(フランス語歌唱)

[演奏]バシア・レチツカ(ソプラノ)、アルレット・シュデル(アルト)、

エリック・タピー(テノール)、

フィリップ・フッテンロッハー(バリトン)

マルタ・アルゲリッチ、ネルソン・フレイレ(ピアノ)、

エドワード・アウアー、スザンヌ・ウッソン(ピアノ)

打楽器アンサンブル、

ローザンヌ大学合唱団(ミシェル・コルボ:合唱指揮)

シャルル・デュトワ(指揮)

[録音]27-28.V.1972, Crissier, Switzerland

プーランク:バレエ音楽「牝鹿」

[演奏]ジョルジュ・プレートル(指揮)フィルハーモニア管弦楽団

[録音]24-25.XI.1980, No. 1 Studio, Abbey Road, London

《CD19:シーズン1924年》

ムソルグスキー(R=コルサコフ編):交響詩「禿山の一夜」

[演奏]マリス・ヤンソンス(指揮)オスロ・フィルハーモニー管弦楽団

[録音]VIII.1988, Konserthus, Oslo

オーリック:バレエ音楽「はた迷惑な人たち」

ミヨー:バレエ音楽「青列車」

[演奏]イーゴリ・マルケヴィチ(指揮)モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団

[録音]VII-IX.1972, Monte-Carlo [音源]La Guilde internationale du disque

サティ(ミヨー編):「びっくり箱」

[演奏]ジョン・ランチベリー(指揮)コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団

[録音]26.II.1978, Abbey Road Studio, London

《CD20:シーズン1927-1928年》

アンリ・ソーゲ:バレエ音楽「牝猫」

[演奏]イーゴリ・マルケヴィチ(指揮)モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団

[録音]VII-IX.1972, Monte-Carlo [音源]La Guilde internationale du disque

サティ:バレエ音楽「メルキュール」

[演奏]ピエール・デルヴォー(指揮)パリ管弦楽団

[録音]IX.1971, Salle Wagram, Paris

プロコフィエフ:バレエ音楽「鋼鉄の歩み」組曲Op.41bis

[演奏]イーゴリ・マルケヴィチ(指揮)フィルハーモニア管弦楽団

[録音]27 & 29.IV.1954, No. 1 Studio, Abbey Road, London

ヘンデル(ビーチャム編):バレエ組曲「物乞う神々」

[演奏]トーマス・ビーチャム(指揮)ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

[録音]23.IV.1958, Kingsway Hall, London

※ 2021年 24bit/192kHzリマスター音源使用

《CD21:シーズン1928-1929年》

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ミューズを率いるアポロ」

[演奏]サイモン・ラトル(指揮)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

[録音]16-18. II. 2011, Philharmonie, Berlin

プロコフィエフ:バレエ音楽「放蕩息子」Op.46

[演奏]マリン・オールソップ(指揮)サンパウロ交響楽団

[録音]4-7, 9.VII.2012, Sala S?o Paulo, Brazil [音源]Naxos

《CD22:歴史的録音集》

ムソルグスキー:歌劇「ボリス・ゴドゥノフ」(R=コルサコフ編)

1: 戴冠式の場~「皇帝ばんざい」

[演奏]フェオドール・シャリアピン(バス)

マックス・シュタインマン(指揮)パリ・ロシア・オペラ管弦楽団

[録音]23.I.1931, Salle Pleyel, Paris

2:戴冠式の場「わが心は重い」

[演奏]フェオドール・シャリアピン(バス)

ユージン・グーセンス(指揮)管弦楽団

[録音]27.V.1926, Queen’s Hall, London

3:第2幕~「わしは最高の権力を得た」

4:第2幕~「ボリスの苦悩」

[演奏]フェオドール・シャリアピン(バス)

マックス・シュタインマン(指揮)ロンドン交響楽団

[録音]6.VI.1931, Kingsway Hall, London

5:第4幕~「ボリスの告別」

[演奏]フェオドール・シャリアピン(バス)

ビンチェンツォ・バレッツァ(指揮)コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団

[録音]4.VII.1928, Covent Garden, London

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

[演奏]ピエール・モントゥー(指揮)グランド交響楽団(パリ交響楽団)

[録音]1929, Paris

(収録音源リストはタワーレコードのサイトより転載)

ロシア出身で不世出の興行師・プロデューサーのセルゲイ・ディアギレフ(1872ー1929)の生誕150年記念企画。パリ・オペラ座でフェオドール・シャリアピン主演の「ボリス・ゴドゥノフ」(ムソルグスキー)上演を成功させた翌年、ロシア・バレエ団(バレエ・リュス)を立ち上げた。ストラヴィンスキーやドビュッシー、ラヴェル、R・シュトラウスらに新作バレエ音楽を委嘱、パブロ・ピカソやジャン・コクトー、フーゴー・フォン・ホフマンスタールらが創作に関わり、ヴァーツラフ・ニジンスキーをはじめとする伝説のダンサーを生み出した。


ワーナーミュージックでは自社にないものをデッカ、ナクソス、シャンドスなど他社音源で補い、1929年にディアギレフの死を受けて解散するまでの20年間にバレエ・リュスが上演した全作品を22枚のディスクに収めた。2021年に施した最新のリマスタリングが成功、1926年録音のシャリアピンの声ですら、かなり聴きやすい。音楽史上まれにみるスキャンダルを引き起こしたストラヴィンスキー「春の祭典」だけは世界初演者モントゥーがパリ交響楽団を指揮した1929年、ディアギレフが晩年に才能を見出したマルケヴィッチがフィルハーモニア管弦楽団を指揮した1959年と2つの録音をそろえた。世界初CD化はマタチッチ指揮フィルハーモニア管のバラキレフ「交響詩《タマーラ》」(1954年録音)のみだ。


全22枚を聴き通した。演奏水準は一様に高いが、若き日の小澤征爾の輝き、アーヴィングやランチベリーらバレエのマエストロの至芸など、久しく忘れていた音源との再会には新鮮な驚きがある。普段はディヌ・リパッティやアルテュール・グリュミオーらの協奏曲伴奏指揮者のイメージが強いガリエラも、ロッシーニ/レスピーギの「風変わりな店」組曲でフィルハーモニア管を徹底的にドライヴ、切れ味抜群の演奏で唖然とする。リマスタリングが最も成功した音源の1つでもある。


55ページに及ぶブックレットには貴重な写真やデザイン画が多数収められ、ディスクの紙ケースには年代を入れ、それぞれの作品の舞台写真を載せた。バレエ・リュスの凄み満載!

(ワーナーミュージック)


J・S・バッハ「ヨハネ受難曲」BWV245

ジョン・エリオット・ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツ&モンテヴェルディ合唱団、ニック・プリッチャード(テノール=福音史家)、ウィリアム・トーマス(バス=イエス)ほか

ガーディナー18年ぶり3度目の「ヨハネ」。2021年4月2日の聖金曜日、コロナ禍で休止を余儀なくされたガーディナーとモンテヴェルディ合唱団、イングリッシュ・バロック・ソロイスツのチームがオックスフォードのシェルドニアン劇場で行った活動再開コンサートのライヴ録音だ。ブックレットに収められた写真では、オーケストラも合唱団もソーシャルディスタンシング(社会的距離の設定)をとっている。少なくとも合唱の明瞭度アップには役立ったようだ。ガーディナーはコロナ禍がもたらした世界の分断、2021年1月のトランプ支持者による米国連邦議会襲撃などを「受難」と重ね合わせ、再録音に踏み切ったという。


合唱の第1声、「Herr(主よ)」の激しい慟哭を聴いた瞬間、全身に戦慄が走った。受難曲だから当然、というレベルの生やさしさではない。深いところから何かに突き動かされ、全身全霊で絞り出した叫びはまさに平時ではなく、有事の音楽として痛切に響きわたる。多少の粗さも傷ではなく、表現の一角を支える。今までに聴いたガーディナーの中でも間違いなく、最高傑作に属する録音だと思う。ディスク2枚を聴いた後の感銘は、別格といえた。

(ユニバーサルミュージック)


ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」

矢部達哉(ヴァイオリン)、朝比奈隆指揮新日本フィルハーモニー交響楽団

1996年5月3日、サントリーホールの「朝比奈隆 ブラームスチクルスⅡ」のライブ録音が26年ぶりに日の目を見た。22歳で東京都交響楽団ソロ・コンサートマスターに就き、めきめきと頭角を現した矢部は演奏当時28歳。まだ若手だったにもかかわらず、じっくりと作品の内面を見つめ、知の刃が妖しい光を放つような独自のスタイルをすでに確立している。自己に厳しい矢部は「子どもっぽい演奏」と謙遜し、長く発売を許可しなかった。フォンテックの「最後のお願い」を受け「改めて聴いてみたら第1楽章の前奏の豊かで暖かく、壮麗な響きに魅せられてしまい、多くの人に聴かれるに値する演奏かもしれないと思えたのです」と、心変わり?の理由を打ち明ける。


朝比奈の揺るぎない指揮を新日本フィルが全力で受け止め、懸命に奏でる音(私も客席から目撃した)は間違いなくロマン派の熱気にあふれ、ドイツのオーケストラのような重心の低さを備えている。本当に今では聴けなくなった、重厚長大の世界だ。野武士を思わせる雄渾なホルンはNHK交響楽団を退団後、新日本フィルで吹いていた時期の千葉馨の貴重な記録。かつての日本には、こうした演奏が存在した。朝比奈の下で大阪フィルハーモニー交響楽団指揮研究員を務めた下野竜也が解説書に寄せたエッセーにも、多くの示唆がある。

(フォンテック)





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