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  • 執筆者の写真池田卓夫 Takuo Ikeda

チェリビダッケ&LSO・小倉貴久子・葵トリオ

クラシックディスク・今月の3点(2023年2月)


いちばん安心して聴ける領域か

「七つの演奏会 1978~1982 チェリビダッケ指揮ロンドン交響楽団」

セルジュ・チェリビダッケ指揮ロンドン交響楽団


【収録情報】

Disc1(180:40)

1. ヴェルディ:歌劇『運命の力』序曲

2. ヒンデミット:交響曲『画家マティス』

3. プロコフィエフ:『ロメオとジュリエット』

録音時期:1978年4月11日


4. ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90

5. ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68

6. ブラームス:ハンガリー舞曲第1番ト短調

録音時期:1979年5月31日


Disc2(215:42)

7. シューマン:交響曲第2番ハ長調 Op.61

8. ラヴェル:スペイン狂詩曲

9. ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲

10. ワーグナー:『タンホイザー』序曲

録音時期:1979年9月18日


11. モーツァルト:交響曲第38番ニ長調 K.504『プラハ』

12. シベリウス:交響詩『エン・サガ』 Op.9

13. プロコフィエフ:交響曲第5番変ロ長調 Op.100

録音時期:1979年9月21日


14. ティペット:歌劇『真夏の結婚』~祭典の踊り

録音時期:1980年4月10日


Disc3(241:04)

15. ドビュッシー:管弦楽のための映像~イベリア

16. ムソルグスキー/ラヴェル編:組曲『展覧会の絵』

録音時期:1980年4月10日


17. コダーイ:ガランタ舞曲

18. ラヴェル:組曲『マ・メール・ロア』

19. ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68

録音時期:1980年4月13日


20. デュカス:交響詩『魔法使いの弟子』

21. ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調

22. フォーレ:レクィエム Op.48

録音時期:1982年4月8日


アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(ピアノ=21)

マリー・マクローリン(ソプラノ=22)

グウィン・ハウエル(バス=22)

ロンドン交響合唱団(合唱指揮:リチャード・ヒコックス=22)

録音場所:ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール


総計637分の「お宝音源」を指揮者の息子、セルジュ・イオアン・チェリビダーキ氏の許可を得てSACDシングルレイヤー盤3枚に収録。ブラームス「交響曲第1番」、コダーイ「ガランタ舞曲」、ムソルグスキー(ラヴェル編)「組曲《展覧会の絵》」、ティペット「歌劇《真夏の踊り》〜《祭典の踊り》」などは同じコンビ1980年の日本ツアーで実演に接することができた。ダンサーを思わせる身のこなしは依然健在だったが、ゆっくりしたテンポで音楽を深く掘り込み、すべての声部をくっきりと浮かび上がらせるミュンヘン・フィルとの「晩年様式」への移行期に当たり、《展覧会の絵》の悠然とした運びは当時の日本の聴衆、音楽評論家の間で物議を醸した。大阪本拠のある作曲家&評論家が激怒のあまり、「この指揮者に相応しい職業はアナリーゼかソルフェージュの教師だ」と酷評したのを覚えている。


私はブラームス「交響曲第1番」第4楽章でホルンが有名な旋律を奏でる間、ヴァイオリンが細やかに刻むオブリガートの音の繊細な美しさに息をのみ、「ガランタ舞曲」「ハンガリー舞曲」の圧倒的な生命感と楽しさに目をみはった。ロンドン響の技量はもちろん確かで、短い期間に集中した名演奏の数々が今に蘇ったことを素直に喜びたい。

(アルトゥス/販売=キングインターナショナル)




ベートーヴェン「クラヴィーア・ソナタ作品109、110、111」

小倉貴久子(フォルテピアノ)


ベートーヴェン最後の3つの「ピアノ・ソナタ」第30、31、32番をウィーンのヨハン・バプティスト・シュトライヒャーが1845年に制作したフォルテピアノのピリオド楽器で演奏、聴き慣れたはずの作品にもかかわらず、さらに新しい視点への啓示に満ちている。ベートーヴェンには同一ジャンルの「最終モデル」、「交響曲」なら第9番、「ヴァイオリン・ソナタ」なら第10番、「弦楽四重奏曲」なら第10番…でそれまでのスタイルをかなぐり捨て、「未来への宿題」を投げかける傾向がある。最後の「ピアノ・ソナタ」3作も同様で、音楽学者の平野昭氏の解説では「ベートーヴェンの孤高様式はソナタとファンタジー(幻想曲)の融合であった」と記される。小倉の深い共感、フォルテピアノ演奏の習熟が、そうした作品の真価をくっきりと浮かび上がらせている。2022年3月29〜31日、群馬県邑楽町中央公民館「邑(むら)の森ホール」でセッション録音。

(ALMコジマ録音)



「葵トリオ《ライヴat紀尾井ホール2022》」

葵トリオ=秋元孝介(ピアノ)、小川響子(ヴァイオリン)、伊東裕(チェロ)

シューマン「ピアノ三重奏曲第1番」」/シューベルト「ピアノ三重奏曲第1番」


2022年3月16日、東京・四谷の紀尾井ホールがプロデュースした演奏会の実況録音。シューマン、シューベルトそれぞれの「ピアノ三重奏曲」を組み合わせ、3年がかりで全曲を完結するシリーズの初回に当たった。葵トリオの新譜は2022年12月、独「ヘンスラー」レーベルのセッション録音でドヴォルザーク(第3番)、マルティヌー(第1番)のチェコ音楽アルバムを紹介したばかりだが、演奏の水準は一貫して高い。今回は「ドイツ・ロマン派」と一括されがちな2人の作曲家の個性の違いを際立たせる一方、必要以上に「ねっとり」と歌わせない清新なアプローチで、両曲のイメージを洗い直すことに成功している。

(LIVE NOTESナミ・レコード)





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