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ネルソンス&BSO・野平一郎&ニッポニカ・アンスネス&ペーデシェン

  • 執筆者の写真: 池田卓夫 Takuo Ikeda
    池田卓夫 Takuo Ikeda
  • 6 時間前
  • 読了時間: 7分

クラシックディスク・今月の3点(2025年4月)


渋すぎたか?
渋すぎたか?

アンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団「ショスタコーヴィチ」

《CD 1》

1-4) 交響曲第1番ヘ短調Op.10

【録音】2018年11月

《CD 2》

1-2) 交響曲第2番ロ長調Op.14『十月革命に捧げる』、3-6) 交響曲第3番変ホ長調Op.20『メーデー』

【演奏】タングルウッド祝祭合唱団

【録音】2019年11月(1-2)、2022年10月(3-6)

《CD 3》

1-5) 交響曲第4番ハ短調Op.43

【録音】2018年4月

《CD 4》

1-4) 交響曲第5番ニ短調Op.47、5-7) 交響曲第6番ロ短調Op.54

【録音】2015年11月(1-4)、2017年5月(5-7)

《CD 5》

1-4) 交響曲第7番ハ長調Op.60『レニングラード』

【録音】2017年2月

《CD 6》

1-5) 交響曲第8番ハ短調Op.65

【録音】2016年3月

《CD 7》

1-5) 交響曲第9番変ホ長調Op.70、6-9) 交響曲第10番ホ短調Op.93

【録音】2015年10月(1-5)、4月(6-9)

《CD 8》

1-4) 交響曲第11番ト短調Op.103『1905年』

【録音】2017年10月

《CD 9》

1-4) 交響曲第12番ニ短調Op.112『1917年』(第1楽章:革命へのペトログラード/第2楽章:ラズリーフ/第3楽章:アヴローラ/第4楽章:人類の夜明け)

【録音】2019年11月

《CD 10》

1-5) 交響曲第13番変ロ短調Op.113『バビ・ヤール』(第1楽章:バビ・ヤール/第2楽章:ユーモア/第3楽章:商店で/第4楽章:恐怖/第5楽章/出世)

【演奏】マティアス・ゲルネ(バス・バリトン)、タングルウッド祝祭合唱団、ニュー・イングランド音楽院交響合唱団

【録音】2023年5月

《CD 11》

1-11) 交響曲第14番ト短調Op.135(第1楽章:深いところから/第2楽章:マラゲーニャ/第3楽章:ローレライ/第4楽章:自殺者/第5楽章:心して/第6楽章:マダム、ごらんなさい/第7楽章:ラ・サンテ監獄にて/第8楽章:コンスタンチノープルのサルタンへのザポロージェ・コザックの返事/第9楽章:おお、デルウィーク、デルウィーク!/第10楽章:詩人の死/第11楽章:結び)

【演奏】アレクサンドル・ツィムバリュク(バス)、クリスティーネ・オポライス(ソプラノ)

【録音】2018年2月

《CD 12》

1-4) 交響曲第15番イ長調Op.141

【録音】2019年4月

《CD 13》

1) 歌劇『ムツェンスク郡のマクベス夫人』Op.29より「パッサカリア」、2-8) 劇付随音楽『ハムレット』組曲Op.32aより(第1曲:序奏と夜警/第2曲:葬送行進曲/第3曲:ファンファーレと舞踏音楽/第4曲:狩/第9曲:オフィーリアの歌/第10曲:子守歌/第11曲:レクイエム)、 9-19) 劇付随音楽『リア王』組曲Op.58aより(序奏とコーデリアのバラード/ファンファーレ第1番/狩からの帰還/ファンファーレ第4番/嵐の接近/荒野の情景/ファンファーレ第2番/盲目のグロスター伯/野営地/ファンファーレ第5番/行進曲)、20) 祝典序曲Op.96、21-25) 室内交響曲ハ短調Op.110a(R.バルシャイによる管弦楽編)

【演奏】ウィリアム・R.ハジンス(クラリネット)(9)

【録音】2015年4月(1)、2016年2月(2-8)、2017年5月(9-20)、2020年1月(21-25)

《CD 14》

1-4) ピアノ協奏曲第1番ハ短調Op.35、5-7) ピアノ協奏曲第2番ヘ長調Op.102

【演奏】ユジャ・ワン(ピアノ)、トーマス・ロルフス(トランペット)(1-4)

【録音】2022年10月

《CD 15》

1-4) ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調Op.99、5-7) ヴァイオリン協奏曲第2番嬰ハ短調Op.129

【演奏】バイバ・スクリデ(ヴァイオリン)

【録音】2022年3月(1-4)、2023年1月(5-7)

《CD 16》

1-4) チェロ協奏曲第1番変ホ長調Op.107、5-7) チェロ協奏曲第2番ト長調Op.126

【演奏】ヨーヨー・マ(チェロ)

【録音】2023年10月

《CD 17-19》

歌劇『ムツェンスク郡のマクベス夫人』Op.29

【演奏】クリスティーネ・オポライス、ミシェル・トレイナー(ソプラノ)、マリア・バラコーワ(メッゾ・ソプラノ)、ピーター・ホーレ、ブレンデン・グンネル、イェギシェ・マヌチャリアン、アレクサンダー・クラヴェッツ、チャールズ・ブランディ(テノール)、デイヴィッド・クラヴィッツ(バリトン)、ブランドン・セデル(バス・バリトン)、ギュンター・グロイスベック、ディミトリ・ベロセルスキー、パトリック・グエッティ(バス)、タングルウッド祝祭合唱団他

【録音】2024年1月


【演奏】アンドリス・ネルソンス(指揮)ボストン交響楽団


CD19枚組の輸入盤。タワーレコードのクーポンも使い9,800円弱で購入、1枚あたり500円強で最新録音を聴けるのだからありがたい。2025年の作曲家没後50年に向け、2015年から10年がかりで進んだ大プロジェクトの集成。交響曲のいくつかは単独発売時に入手していたし、エフゲニー・ムラヴィンスキーやキリル・コンドラシンからユーリ・テミルカーノフ、マリス・ヤンソンスらに至るまでの「ショスタコーヴィチと直接面識のあった旧ソ連の指揮者たち」に比べ、いささか楽天的なネルソンスの解釈を受け入れるのにも時間を要したが、何よりボストン響の素晴らしい演奏能力とソリストの豪華な顔触れ、おおむね優れた録音で主要作品を一気に聴けるメリットは大きい。どんな状況にあってもユーモアのセンスを絶やさず、はるか未来にも「繰り返し聴く楽しみに満ちた音楽」を書き続けたショスタコーヴィチ不屈の精神力、超プロフェッショナルな作曲スキルに感嘆し続けながら聴いた。

(ドイツ・グラモフォン=ユニバーサル ミュージック)


野平一郎指揮オーケストラ・二ッポニカ

プリングスハイム:管弦楽のための協奏曲ハ長調 Op.32

三善 晃:管弦楽のための協奏曲

大栗 裕:管弦楽のための協奏曲


2024年12月22日、東京・紀尾井ホールのオーケストラ・二ッポニカ第45回演奏会のライヴ録音。第二次世界大戦をはさみ、1934年から1970年までの間に日本で初演された「管弦楽のための協奏曲」3曲を一気に演奏している。マーラーの直弟子に当たり、日本で生涯を終えたプリングスハイムの作品は今日の聴覚からしても「怪作」に違いないものの、埋もれた作品を丹念に掘り起こし、再評価の機会を設けてきた二ッポニカの歩みは深く尊敬に値する。今年になって活動休止を決めたのは残念だが、優れた業績のかなりの部分が市販音源として残されたのは幸いだ。

(MClassics=妙音舎、発売=ナクソスジャパン)


リスト「 十字架の道行き S.53」

 合唱:王のみ旗は翻り

 第1留:イエズス死刑の宣告を受け給う(ピラト)

 第2留:イエズス御肩に十字架を担う(イエズス)

 第3留:イエズス初めて倒れ給う(合唱)

 第4留:イエズス聖母に会い給う(ピアノ独奏)

 第5留:イエズス、シレネのシモンの助力を受け給う(ピアノ独奏)

 第6留:聖ヴェロニカ(合唱)

 第7留:イエズス二度倒れ給う(合唱)

 第8留:エルサレムの婦人(イエズス)

 第9留:イエズス三度倒れ給う(合唱)

 第10留:イエズス衣を剥がれ給う(ピアノ独奏)

 第11留:イエズス十字架上に釘付けにせられ給う(合唱)

 第12留:イエズス十字架上に死し給う(イエズス、合唱)

 第13留:イエズス十字架よりおろされ給う(ピアノ独奏)

 第14留:イエズス御墓に葬られ給う(メゾ・ソプラノ、合唱)


「 コンソレーション S.172」

 第1番ホ長調 アンダンテ・コン・モート

 第2番ホ長調 ウン・ポコ・ピウ・モッソ

 第3番変ニ長調 レント・プラチード

 第4番変ニ長調 クワジ・アダージョ

 第5番ホ長調 アンダンティーノ

 第6番ホ長調 アレグレット・センプレ・カンタービレ


「詩的で宗教的な調べ S.173」より

 第9曲 アンダンテ・ラクリモーソ

 第8曲『パレストリーナによるミゼレーレ』 ラルゴ


レイフ・オヴェ・アンスネス(ピアノ)

ノルウェー・ソロイスツ合唱団(1)

グレーテ・ペーデシェン(合唱指揮:1)


リストが聖職に傾倒した最晩年に心血を注いだピアノ独奏付きの合唱曲「十字架の道行き」。イエスの受難を14の場面に分けて描く絵画を音で表現した宗教音楽でグレゴリオ聖歌とJ・S・バッハ「マタイ受難曲」の影響を受け、晩年のリストらしい単純化された簡潔な旋律や和声と半音階的でシェーンベルクを想起させるような無調の部分とが並立、「ヨーロッパ音楽の長い歴史を1曲に内包されたような趣がある」(ソニーミュージックのホームページ)という。カップリングはピアノ独奏用の傑作から「コンソレーション」と「詩的で宗教的な調べ」。ノルウェー屈指の合唱指揮者グレーテ・ペーデシェン率いるノルウェー・ソロイスツ合唱団の際立った演奏も聴きものだ。アンスネスが母国ノルウェーで主催する「ローゼンダール音楽祭」の2024年最終コンサートで演奏した直後、改めてセッションを組んで録音した。アンスネスに「リスト弾き」のイメージはないが、キャリア初期にも「ピアノ協奏曲第2番」を録音するなど、かなり長期にわたって作曲家像を温めてきたことは確かだ。

(ソニーミュージック)




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