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  • 執筆者の写真池田卓夫 Takuo Ikeda

才人「ヤマデウス」?の七夕コンサート


コンサートイマジンが毎年7月7日、サントリーホールで主催する「イマジン七夕コンサート」。第16回の今年(2020年)は社会情勢に沿って聴衆の数を大幅に絞り、山田武彦が音楽監督・編曲・ピアノで大活躍。横山奏指揮東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、伊藤晴(ソプラノ)、中鉢聡(テノール)、岡田将(ピアノ)が演奏に加わり、松本志のぶが「案内人」を務めた。東京シティ・フィルは6月26日の定期演奏会(藤岡幸夫指揮、東京オペラシティコンサートホール)を急きょ無観客に変更したため、外部の「売り公演」とはいえ今回が有観客の公開演奏会の再開に当たった。2年前の東京国際音楽コンクール「指揮」(民音主催)の第2位、横山の指揮は職人的な手際の良さに富むので、雑多な曲目の管弦楽に確かな形、色彩感、ダイナミックな音響を与え、楽員の高揚した気分を上手に引き出した。


「新世界」を第3楽章を除く全曲の〝さわり〟だけで5分ほどに縮めたり、ガーシュインのソロ部分に「笹の葉サラサラ…」のメロディーを忍ばせたり…と、山田の才気満載の編曲スコア。圧巻は後半の「ザ・名曲クラシックス」と「ザ・ピアノ・コンチェルト」の2大ポプリ(接続曲)。全部で50曲ほどのエッセンスを20数分に圧縮した。前者の途中、モーツァルトに扮した山田が現れ、鍵盤の前に後ろ向きで立ったまま背中に手を回し「トルコ行進曲」を弾く隠し芸?まで披露するなか、司会の松本は「ヤマデウス」と絶賛した。協奏曲の超絶技巧箇所を次から次に演奏した岡田のピアノも素晴らしかった。歌手の2人はまだ、「本番の現場感覚」を取り戻す途上にあるようで、やや慎重な運びだった。

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