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  • 執筆者の写真池田卓夫 Takuo Ikeda

ゴージャスな日程消化?ウィーン・サロン・オーケストラのニューイヤー千秋楽


コテコテ感満載のプログラム

明けましておめでとう、の新年の松の内は現在7日までで、「七草かゆ」を食べて区切りを付ける。鏡餅を割る鏡開きは11日。古来の松の内である15日は「小正月」というらしい。ウィーンの楽人たちが複数のグループで正月の日本に現れ、シュトラウス・ファミリーを中心とするワルツやポルカ、オペレッタの名曲を奏でるニューイヤー・コンサートも、10日を過ぎれば食傷感満点のはずだ。フォルクスオーパーのコンサートマスターだったウド・ツヴェルファー率いるウィーン・サロン・オーケストラは音楽事務所プロ・アルテ・ムジケの招聘で毎年日本を訪れ、今年も1月4日の那須野が原ハーモニーホールから14日の東京オペラシティコンサートホールまで、6公演をこなした。


ウィーンから同行した歌手(ソプラノのヘーゲ・グスターヴァ・チョンとテノールのクレメンス・ケルシュバウマー)、バレエダンサー(ズザーナ・フィクローヴァとウラディミール・スニチェク)のほか久元祐子が神戸と東京、熊本マリが大阪と多治見で、それぞれモーツァルトのピアノ協奏曲(久元が第26番《戴冠式》、熊本が第23番)を独奏する「てんこ盛り」。昨年から無料化した公演プログラムにいくつか、曲目解説を提供している御縁で今年も出かけたものの、1月14日というタイミングが何ともビミョーで期待値は低かった。しかし、サントリーホール招聘のフォルクスオーパー交響楽団が機能の洗練を増し、クールで颯爽とした演奏を聴かせたのに対し、ちょっと斜に構え、ぬる燗の日本酒を思わせるツヴェルファー組のアンサンブルは「古き良きウィーン」の味わいが濃厚。ニューイヤーコンサートの締めくくりには、これも悪くないと思った。


ベーゼンドルファーの最新モデルを弾いた久元の「戴冠式」も、ことさらピリオド奏法を強調せず、オーケストラと表現を一致させていた。今年は新天皇御即位に伴う元号の切り替えが予定され、この協奏曲を聴く機会が増える。その「お聴き初め」にも最適の演奏だった。

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