大阪国際音楽コンクール(OIMC)とセシリア国際音楽コンクール(東京)の上位入賞者を集めたニューヨークのガラ・コンサートが2023年5月23日、カーネギーホールのワイル・リサイタル・ホール(小ホール)で行われた。2017年に隔年を前提に始め、2019年に第2回を開いたが、2021年(と順延予定だった2022年)はコロナ禍の影響で断念、今回が4年ぶり3度目の開催に当たった。前回の拙稿を再掲する:
この間、ニューヨーク在住のソプラノ歌手の田村麻子が大阪国際の審査員に加わると同時にニューヨーク支部を作り、支部長に就いた。昨年(2022年)はガラに代わり、ニューヨークで岩倉使節団(!)以来150年ぶりに企画された「JAPANパレード」でOIMC一行として練り歩き、田村が歩きながらアリアを歌って喝采を浴びた。今年のパレードでも同様のデモンストレーションを行ったが、ガラと日程が開いていたため、私は参加を見送った。
2023年のガラ出演者はハープが2人、ピアノが3人、ヴァイオリンが2人、サクソフォンとオカリナが各1人、声楽が3人の計12人。最後に田村自身がドヴォルザークの「歌劇《ルサルカ》」から《月に寄せる歌》を歌い、コンサートをきっちりと締め括った。声楽が増えたのは田村の関係で、ニューヨーク地区予選の成績優秀者を招き入れた結果だった。
私はOIMCの最終日、全部門の第1位を集め、ジャンル横断のグランプリ1人を選ぶ「グランドファイナル」審査員を長く務めてきた。今回も直近のグランドファイナル参加者が何人かいた。それぞれが以後の精進を反映、当時よりも優れた演奏をニューヨークで披露した。とりわけピアノの成田寛太郎、アルト・サクソフォンの柳原将也の進境が目覚ましかった。
声楽は他のコンクールで審査をする機会が多い。持ち声が良くても技術が不足したり、技が達者でも言葉が不明瞭だったり、ピアノやヴァイオリンなどの器楽に比べバランスのとれた人材が現れにくい分野でもある。今回の3人にも一長一短あるなか、米国の作曲家リビー・ラーセン(1950ー)の歌曲《Try Me, Good King: Last Words of the Wives of Henry Ⅷ》を巧みに解釈したソプラノ、チャリティー・メイプルトフトが一頭地抜けていた。
ニューヨーク支部ができた結果か前2回より客入りが良く、反応も熱かったのが良かった。
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