「若い芽の弦楽アンサンブルアカデミーin軽井沢」(YEK)はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団や読売日本交響楽団のコンサートマスターを歴任したドイツのヴァイオリニスト、ダニエル・ゲーデ(1966年、ハンブルク生まれ)が長年、日本での教育活動の拠点としてきた。その第12回、コロナ禍明け初の本格開催に先立ち、メールインタヴューを試みた。
--COVIDー19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミック(世界拡大)が一段落した今、学生たちに何を伝え、何を一緒に学びたいですか?
「パンデミックにより、多くの演奏会や会合が困難な状況でしたが、恐れずに一緒に音楽をつくり、観客も参加できること機会がようやく訪れました。パンデミックの経験があるからこそ、現在の可能性をありがたく見つめ、人とアーティストがコミュニケーションをとることをより一層、深く楽しめるのだと思います」
--軽井沢の教育音楽祭を続ける意味は何ですか?
「YEKフェスティバルはすでにしっかりと確立された催しで、多くの志ある音楽家の成長の手助けをしてきました。この特別な音楽祭に参加し、ユニークな体験を得られる素晴らしい機会に若い音楽家が関心を寄せ、再び開催できることを大変に嬉しく思います。ここは素晴らしい環境と雰囲気の中で参加者と指導者、聴衆が音楽を共有し、ともにつくる場所です」
--他の音楽祭、セミナーと比較したとき、ここにはどのような特徴がありますか?
「これほどまでに集中的な交流(合宿形式)は、他の音楽祭やセミナーにはあまりないものです。YEKフェスティバルの個人レッスン、室内楽、アンサンブルでの密度の濃い交流は、とても特別といえます。参加者は皆、豊かな経験と幸福感を携えて帰国の途につきます」
--現在、ご自身の時間のうち、教育や演奏に割く割合とその比率は?
「毎年、自分の演奏のために10週間ほどのツアーに出ます。日常の教職活動に加え、年に3、4回の講習会を開いています」
--最後に日本の学生たちへ何か一言、YEKへの参加を呼びかける言葉をお願いします。
「プロの音楽家を目指すのであれば、YEKフェスティバルは音楽上の勉強となるばかりか、人間的にも価値のある時間を集中的に体験、同じ志を持った良い仲間と出会えるはずです」
--ありがとうございました。
※第12回の会期は2023年7月29日ー8月2日、軽井沢大賀ホールなどで
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