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  • 執筆者の写真池田卓夫 Takuo Ikeda

METの新路線定着を確信、来日に期待

今月のパフォーマンス・サマリー(2024年5月)


「エル・ニーニョ」〜ジュリア・ブロック(中央)と3人のカウンターテナー (撮影=Evan Zimmerman、提供=Met Opera)

3〜4日 第43回飯塚新人音楽コンクール・ピアノ部門予選の審査員(飯塚市民文化会館コスモスコモン)

5日 ラ・フォル・ジュルネTOKYO2024 ①リヤ・ペトロヴァ(ヴァイオリン)&ナタニエル・グーアン(ピアノ)🎉②吉田誠(クラリネット)、本條秀慈郎(三味線)、秋元孝介(ピアノ)、天羽明恵(ソプラノ)③ジャン=マルク・ルイサダ(ピアノ)④児玉隼人(トランペット)、井上道義指揮新日本フィルハーモニー交響楽団⑤中野振一郎(チェンバロ)⑥山根一仁(ヴァイオリン)、井上道義指揮新日本フィル (東京国際フォーラム)

7日 マリオス・パパドプーロス指揮オックスフォード・フィルハーモニー管弦楽団、HIMARI(ヴァイオリン) (すみだトリフォニーホール)

10日昼 劇団四季「オペラ座の怪人」 (KAAT神奈川芸術劇場)

10日夜 岡本拓也(ギター) (東京文化会館小ホール)

11日昼 カーチュン・ウォン指揮日本フィルハーモニー交響楽団 (サントリーホール)

11日夜 ファビオ・ルイージ指揮NHK交響楽団 (NHKホール)❤️

12日 東誠三(ピアノ) (東京文化会館小ホール)❤️

15日 メトロポリタン歌劇場「めぐりあう時間たち」

17日 メトロポリタン歌劇場「エル・ニーニョ」⭐️

18日 メトロポリタン歌劇場「カルメン」⭐️

20日 大阪国際音楽コンクール上位入賞者ガラ・コンサート (カーネギー小ホール)🍏

23日 ファビオ・ルイージ指揮NHK交響楽団、ルドルフ・ブッフビンダー(ピアノ) (サントリーホール)

24日 二期会ニューウェーブ・オペラ劇場「ディダミーア」ゲネプロ (めぐろパーシモンホール)

25日 井上道義指揮札幌交響楽団、北村朋幹(ピアノ) (札幌コンサートホールKitara)❤️🍏

26日 井上道義指揮札幌交響楽団、北村朋幹(ピアノ) (札幌コンサートホールKitara)❤️🍏

28日 山田和樹指揮モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団、藤田真央(ピアノ) (サントリーホール)❤️

29日 MUSAスペシャル・ナイトコンサート「パイプオルガン✖️ミュージカルVol.2」大木麻里(オルガン)、岡幸二郎(ヴォーカル)ほか (ミューザ川崎シンフォニホール)

30日昼 劇団四季「ゴースト&レディ」(四季劇場「秋」)

30日夜 井上道義指揮東京都交響楽団 (東京文化会館大ホール)❤️

31日 ステファニー・チルドレス指揮読売日本交響楽団、鳥羽咲音(チェロ)(サントリーホール)

※❤️は「音楽の友」、⭐️は「オン★ステージ新聞」、🍏は「モーストリー・クラシック」、🎉は「intoxicate」に記事を執筆


ゴールデンウィークはコンクール審査、中旬は毎年ほぼ恒例のニューヨーク滞在とイレギュラーな1か月だった。限られた日数の中、2024年12月末の引退を表明している井上道義の指揮を東京と札幌で5回も聴いた。札響、都響はそれぞれ最後の共演。見た目は若々しくても「体の内側はガタガタ」という体調をおし、今年40公演強のスケジュールの半ばまできた。それは入魂の伊福部であり、クセナキスであり、ショスタコーヴィチだった。札幌ではラヴェルの「ボレロ」をクセナキスと同じ円形配置で演奏、聴き慣れた名曲がこれほど深い作品だったとは、おそらく初めて知った。ぜひ12月30日まで完走してほしい。3人の若いソリストーーヴァイオリンの山根、ピアノの北村、トランペットの児玉も素晴らしかった。


ウォンと日本フィルのマーラー「交響曲第9番」、ルイージとN響のレスピーギ「ローマ3部作」はそれぞれ、客演では得られない首席指揮者の強みを発揮した高水準の演奏だった。失礼な言い方ではあるが「大穴」は初めて日本を訪れ、読響を指揮した25歳の英国人女性チルドレス。初共演の外国オケから堂々と独自の音色を引き出し、自分の音楽を奏でた。「新世界」交響曲では第1楽章のリピートを実行、着地点のフェルマータ直後のフライング拍手も背中を向けたままのジェスチャーでピタリと制するなど、破格の実力を印象付けた。日本の25歳はまだ音大指揮科の大学院生で、やっとアマチュア・オーケストラや音楽鑑賞教室の仕事にありつき始めた頃と思われ、再び拡大し始めた内外格差に衝撃を受けた。


METではそれぞれ、アングロサクソン系で演劇畑の若手〜中堅演出家を起用した演目を3つ観た。ジョン・アダムズとピーター・セラーズの初期コラボレーションである「エル・ニーニョ」は今回がMET初演。同じ敷地内のリンカーンセンター劇場の座付でハイチ、プエルトリコにルーツを持つ40代初めの女性演出家、リリアナ・ブライン=クルーズが幻想と南米の感触に満ちた新鮮な視覚を提供した。指揮者も同作のマリン・オルソップ、「カルメン」のディエゴ・マテウスがMETデビュー。フィラデルフィア管弦楽団とMETのシェフを兼ねるヤニック・ネゼ=セガンのアシスタントを長く務めてきた日系アメリカ人、37歳のケンショウ・ワタナベも今回の「めぐりあう時間たち」再演がMETの本公演指揮デビューに当たった。現代のテイストに合った新作を演劇性の高い演出、フレッシュな顔ぶれで上演するピーター・ゲルブMET総裁の新路線は最初こそ不入りだったが、ここ1〜2シーズンはほぼ満席の活況を呈しており、現代におけるオペラハウスのあり方の1つを見事に示すに至った。オーケストラの水準も依然として高く、6月末の日本公演がいよいよ楽しみになってきた。


この月は久しぶりに劇団四季のミュージカルを観る機会を授かり、ミューザ川崎ではパイプオルガンとミュージカルのコラボレーションを楽しんだ。しばらくご無沙汰だったミュージカル、音楽劇関係の仕事をもう少し増やしたくなった。



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