• 池田卓夫 Takuo Ikeda

柴田智子「自由で素敵なコンサートシリーズvol.4」、プレヴィン歌劇のアリア


和服に見えるがドレスだそうです

ソプラノの柴田智子は自身でプロデュース、構成、演出を手がけるリサイタルを長く続けてきた。2021年6月19日(18時45分開場)には東京の豊洲シビックセンターホールで「自由で素敵なコンサートシリーズ」の第4回、「TIMELESS MASTERPIECES〜永遠の名曲との出会い〜」に臨む。1994年生まれで東京藝術大学音楽学部大学院のソルフェージュ科を修了した作編曲家で歌手・作詞家の林部智史に楽曲を提供、ツアーにも参加している追川礼章(おいかわ・あやとし)が昨年12月のクリスマス編に続き、ピアニストとして共演する。



別掲のプログラムは「あと何年できるか、正直に、冷静に考えながら、今の自分に歌える作品を様々なジャンルから選びました」。20代でニューヨークへ渡り「とりあえず好きなジャンルに挑んではみたものの、ミュージカルに出れば踊りがダメ、ジャズはアドリブができない、ゴスペルではアフリカ系アメリカ人の深い悲しみを出せない…と行き詰まったとき、キャシー・バーベリアン(作曲家ルチアーノ・ベリオの元妻で同時代の音楽を得意としたソプラノ)の歌に出会い、衝撃を受けました。高音は出るのに、転がるようには回せない自分の声に適したレパートリーを探すうち、レナード・バーンスタインの《キャンディード》と出会い、ご本人のレッスンを受けたところ『もっとテクニックを磨きなさい』と言われ、イタリアに飛んだのです」。いつのコンサートでもプログラム自体、柴田の〝自分史〟の様相を呈している。


1990年代前半に日本での演奏活動を本格化させたころ、ステージではクロノス・カルテット、バラネスク四重奏団など同時代音楽のスペシャリストとの共演が多く、旧東芝EMI(国内制作部門は現在、ユニバーサルミュージックが継承)で録音したディスクも、ミュージカルにちなんだ「MANHATTAN DREAM on Broadway」、アカデミー室内管弦楽団と共演したビートルズのカバーアルバム「LET IT BE」だったため、「日本のクラシック音楽ファンの多くが依然、私をご存知ない一因でもありますね」。この2点のアルバムは今月(2021年6月)、ユニバーサルから再発売されるが、「コンサートでは今まで歌ったり演じたりしたことがないオペラからも楽曲を選び、初めて歌います」。柴田が最も心血を注いだのはテネシー・ウィリアムズの名作をアンドレ・プレヴィンがオペラ化、1998年にサンフランシスコで初演したオペラ《欲望と言う名の電車》からのアリアだ。「すごく難しい作品ですが、追川さんと2人で真剣に取り組み、私の新しい一面をお聴かせできればと思います」


「つくづく劇場音楽、それも英語の作品が好き。日本ではなかなか場がなく、自分でプロデュースするようになったのです。もちろん他言語の作品のオーディションも受け続け、昨年は東京二期会のオペレッタ《メリー・ウィドウ》に出演、若く新しい仲間もできました。今後は自身の主催、プロデュースでない舞台にも、どんどん出ていくつもりです」。私は柴田が企画、広渡勲が演出する「アメリカン・シアター・シリーズ」の最初2回に対訳字幕制作やアシスタントでかかわり〝チョイ役〟で出演したこともあれば、柴田が出演した二期会英語歌曲研究会のコンサートでサミュエル・バーバーの素晴らしい声楽作品の世界に目を啓かれた思い出もある。今後どのような展開となるにせよ、柴田には英語歌曲&劇場作品への情熱を失ってほしくない。万が一、声が「なくなった」としてもプロデューサー、指導者として次代に継承できるだけの経験を積んできた歌手である。「《パリのアメリカ人》からの《シュトラウスに寄せて(by Straus)》は私のミュージカルとオペレッタ、クラシックをつなぐ架け橋として、プログラムに入れます。ガーシュインではもう1曲、《アイ・ガット・リズム》変奏曲の1台ピアノ4手連弾版を追川さん、妹の結子さんの演奏でお聴きいただく楽しみも用意しました」


最後のパートは日本語の歌。「荒城の月」や「赤とんぼ」ではなく、さだまさし、松任谷由実にレアな中山うり、というチョイスがまた「自由で素敵」な柴田らしい。


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