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  • 執筆者の写真池田卓夫 Takuo Ikeda

指揮者とオーケストラの深い結び付き

今月のパフォーマンス・サマリー(2023年7月)


アランドール???

1日 斎藤一也(Pf) 「周のピアノ修復記念コンサート」第1回(山梨銘醸株式会社北原家住宅=山梨県北杜市白州町台ヶ原)

2日 エンリコ・オノフリ指揮ハイドン・フィルハーモニー管弦楽団、久元祐子(Pf)(紀尾井ホール)❤️

3日 METライブビューイング《ドン・ジョヴァンニ》(東劇)

6日 ダニエル・ライスキン指揮スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団、笹沼樹(Vc)(サントリーホール)

7日昼 ジョゼ・ソアーレス指揮新日本フィルハーモニー交響楽団すみだクラシックへの扉第16回、村治佳織(G)(すみだトリフォニーホール)

7日夜 広上淳一指揮日本フィルハーモニー交響楽団第752回東京定期演奏会 レオンカヴァッロ《道化師》 笛田博昭(T)ほか (サントリーホール)

8日 下野竜也指揮東京交響楽団ミューザ名曲全集第189回《ウルトラコスモ》&《宇宙戦艦ヤマト》(ミューザ川崎シンフォニーホール)

11日 カルテット・アマービレBRAHMS Plus Ⅳ 村上淳一郎(Va)(Hakuju Hall)❤️

12日 高校生のためのオペラ鑑賞教室2023《ラ・ボエーム》(新国立劇場オペラパレス)

13日 東京二期会オペラ劇場《椿姫》(東京文化会館大ホール)

14日 アラン・ギルバート指揮東京都交響楽団「都響スペシャル」キリル・ゲルシュタイン(Pf)(サントリーホール)⭐️

15日 佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2023《ドン・ジョヴァンニ》(兵庫県立芸術文化センター)

16日 名古屋テアトロ管弦楽団&合唱団《ラ・ボエーム》(東海市芸術劇場大ホール)

17日 荘村清志(G)スペシャル・コンサート2023 (サントリーホール)❤️

19日 カルテット・カオス (横浜みなとみらい小ホール)

20日 アラン・ギルバート指揮東京都交響楽団「都響スペシャル」シュテファン・ドール(Hr) (東京文化会館大ホール)

21日 山下一史指揮愛知室内オーケストラ第60回定期演奏会 (しらかわホール)❤️

22日 ジョゼ・ソアーレス指揮名古屋フィルハーモニー交響楽団第87回市民会館名曲シリーズ 中野りな(Vn) (日本特殊陶業市民会館フォレストホール)

23日 チョン・ミョンフン指揮東京フィルハーモニー交響楽団第988回オーチャード定期演奏会 ヴェルディ《オテロ》 グレゴリー・クンデ(T)ほか (オーチャードホール)

24日 映画「ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌」試写会 

26日 日本テレマン協会第299回定期演奏会 高田泰治(Cem)(東京文化会館小ホール)

27日 セバスティアン・ヴァイグレ指揮読売日本交響楽団第630回定期演奏会 樫本大進(Vn) (サントリーホール)

28日 フェスタサマーミューザKAWASAKI 大野和士指揮東京都交響楽団 久末航(Pf)

(ミューザ川崎シンフォニーホール)

29日 フェスタサマーミューザ《出張サマーミューザ@しんゆり!》熊倉優指揮神奈川フィルハーモニー管弦楽団 横坂源(Vc)、古海行子(Pf)(昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ)※

30日 唐澤まゆ子(Sp)&吉岡舞子(Pf)(高木クラヴィーア松濤サロン)

31日 みなとみらいアコースティックス2023 藤木大地(CT)、反田恭平(Pf)、務川慧悟(Pf) (横浜みなとみらい大ホール)❤️

→❤️は「音楽の友」誌、⭐️は「モーストリー・クラシック」誌、※は「ほぼ日刊サマーミューザ」にそれぞれレビューを書きます。


映像も含めれば《ラ・ボエーム》を3回、《ドン・ジョヴァンニ》を2回観た。さらに名誉音楽監督チョン・ミョンフンの白熱した指揮と題名役グレゴリー・クンデ迫真の歌唱を得た東京フィルの《オテロ》、読響とピットに入った英国のオペラ指揮者アレクサンダー・ソディが日本人歌手の潜在能力を極限まで引き出した二期会の《椿姫》、広上淳一の爆演を真正面から受け止め、日本の名歌手たちが熱演した日本フィルの《道化師》…と、それぞれに高カロリーの上演を堪能した。コロナ禍中のニューヨークでロケを行い、中国人やメキシコ人、アフリカ系アメリカ人、プエルトリコ人、日本人ら非白人の歌手でキャストを組んだ映画でも、名古屋のアマチュア団体でも、指揮者を本公演の大野和士から阪哲朗に替えた新国立劇場の高校生向け上演でも、プッチーニが《ラ・ボエーム》に託したメッセージは揺るがない。若さの美しさと残酷、社会の分断などのテーマはコロナ禍で再びリアリティを増している。これに対し《ドン・ジョヴァンニ》の再現難易度は遥かに高く、METのイヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出は題名役を現代の社会犯罪者として徹底的にやり込めた点が賛否両論、兵庫ではデイヴィッド・ニースの手堅く折衷的な演出と佐渡の異様に遅いテンポが今ひとつ噛み合わなかったが、大西宇宙(Br)の題名役デビューは大きな成功を収めた。


首席客演指揮者アラン・ギルバートと都響の強い絆は今回も素晴らしい輝きを放ち、ピアノのゲルシュタイン、ホルンのドールのソリスト2人も華やかな妙技で魅了した。2021年の東京国際音楽コンクール〈指揮〉で第1位を得たブラジルの若手、ジョゼ・ソアーレスも初めての本格的な日本ツアーに臨み、新日本フィルと広島交響楽団、名古屋フィルを客演して回った。広島以外の2公演を聴いたが、コンクール本選、昨年の入賞者コンサートと比べても長足の進歩をみせた。きりりと引き締まって透明感をたたえた弦のアンサンブルを美しくリズミカルに歌わせ、それぞれのオーケストラの持ち味も良く生かしていた。願わくはレギュラーのゲストとなり、日本の楽団と長期の良い関係を築いてほしい。もう1回前の同じコンクールで第3位に入賞、今秋からドイツ・ハノーファー州立歌劇場の第2カペルマイスターに就く熊倉優も素晴らしい進境を印象付け、オペラ指揮者としての大成に期待したい。


斎藤一也、高田泰治、樫本大進、唐澤まゆ子、藤木大地といったソリストたちも10年、20年と聴き続け、10代とか20歳そこそこで出会った当時のことを思い出すにつけ、絶え間ない精進と、それがもたらす果実の大きさに心の底から感心する。今回また、中野りなという破格の才能と出くわし「時間をかけて見守る」楽しみがまた1つ増えたのも嬉しい収穫。



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