• 池田卓夫 Takuo Ikeda

師弟共演!徳永二男と三浦文彰がYMCAチャリティ@イタリア大使館を動画配信


徳永(右)と三浦(写真提供=日本YMCA同盟国際賛助室 大岩弘子)

公益財団法人・日本YMCA同盟ジョルジョ・スタラーチェ駐日イタリア共和国特命全権大使の特別後援により、日本とイタリアの医療関係者への感謝をこめたチャリティコンサート「はなれていてもつながっている」をこのほど、東京・三田のイタリア大使館大使公邸内で行った。出演したのは師弟関係にある2人のヴァイオリニスト、徳永二男(1946ー)と三浦文彰(1993ー)。J・S・バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンの名旋律をヴァイオリンだけのデュオで奏でた後、J・S・バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」から「第3番」全曲を徳永、「第2番」第5楽章の「シャコンヌ」を三浦がそれぞれソロで披露した。コンサートは非公開(クローズド)だったが、2人の所属マネジメントであるAMATIなどが動画ソフトを編集制作、2020年8月22ー31日までの期間限定でe-plus(イープラス)の専用サイト https://eplus.jp/st-tokunaga-miura/ から有料配信される。チケット価格(鑑賞料金)は2,000円。8月8−30日の間、同サイトで手続きを受け付ける。コンサートと配信の収益は日本YMCA同盟が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受ける青少年のための支援緊急募金「YMCA子ども・ユース・地域支援ポジティブネット基金」https://srv.asp-bridge.net/ymca/privacy/5 、さらにイタリアのスパランツィー二国立感染症研究所によるCOVID-19ワクチン開発のために使うとしている。


明治維新2年前の幕末、1866年に日伊修好通商条約が締結されて以来、日本とイタリアの交流は150年を超えた。現在の大使館は旧松山藩の江戸中屋敷(後の松方公爵邸)の跡地にあり、美しい日本庭園を擁する。元禄16年(1703年)2月4日には江戸幕府の命により、「忠臣蔵」で知られる赤穂浪士の大石主悦(大石内蔵助の息子)、堀部安兵衛ら10人が切腹した場所でもある。昭和14年(1939年)には徳富蘇峰の「赤穂浪士十名切腹ノ地・伊太利大使館」の揮毫による記念碑が当時の大使の発案により、大使館の敷地内に建立された。ガラスを多用して庭園を借景とした現在の大使館・大使公邸は日本とイタリアの建築家の合作により、1965年に完成。デザインの国のシックなインテリアは音楽と美しく調和する。


徳永と三浦がベートーヴェンの「メヌエット」やモーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を合奏する姿は師弟愛にあふれ微笑ましいが、J・S・バッハの「無伴奏パルティータ」では世代を超えた2人の名手が食うか食われるか、激しい音楽性の競い合いを繰り広げる。徳永は細かいことにとらわれず、全3曲の「パルティータ」では最も小ぶりで軽妙と思われがちな「第3番」を巨大なスケールの音楽に仕上げた。「シャコンヌ」はスペインの舞曲が下敷きということもあって、ヴァイオリニストが技を誇示する作品(もちろん演奏至難だ)と思われがちだが、最近の研究でバッハが最初の妻で病死したマリア・バルバラのための「哀悼歌(ラメント)として作曲した」との学説が有力とされる。まだ27歳の三浦は太く、陰影の深い音で「シャコンヌ」の内面世界にどんどん降りていき、バッハの錯綜した思いを現代に蘇らせる。これ1曲を鑑賞するだけでも、かなり手応えのある映像といえる。

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