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  • 執筆者の写真池田卓夫 Takuo Ikeda

巨星の退場と若い才能&中堅の健闘

今月のパフォーマンス・サマリー(2024年2月)


オペラも充実

1日 イム・ユンチャン&亀井聖矢(Pf) (東京芸術劇場コンサートホール)

2日昼 METライブビューイング カターン「アマゾンのフロレンシア」(東劇)

2日夜 ミカエル・ロポネン(Pf) (ベヒシュタイン・ツェントルム)

3日 山田和樹指揮読売日本交響楽団 上野耕平(Sax)(東京芸術劇場コンサートホール)

4日 井上道義指揮NHK交響楽団 (NHKホール)

5日 イム・ユンチャン(Pf)(東京オペラシティコンサートホール)🐶

6日 大井駿指揮東京都交響楽団 上野星矢(Fl)(東京芸術劇場コンサートホール)

8日昼 新国立劇場 ドニゼッティ「ドン・パスクワーレ」(オペラパレス)

8日夜 アンドレ・ボレイコ指揮ワルシャワ・フィル ラファウ・ブレハッチ(Pf)(サントリーホール)

9日昼 出口大地指揮東京フィルハーモニー交響楽団 前田妃奈(Vn)(東京芸術劇場コンサートホール)

9日夜 山田和樹指揮読売日本交響楽団 藤原道山(尺八) 友吉鶴心(琵琶)(サントリーホール)

10日 尾関友徳(Pf) (ベヒシュタイン・ツェントルム)

11日 日本オペラ協会「ニングル」 (めぐろパーシモンホール)

12日 北村朋幹(指揮&Pf)名古屋フィルハーモニー交響楽団 (アクトシティ浜松中ホール)❤️

13日 山田和樹指揮読売日本交響楽団 シモーネ・ラムスマ(Vn)(サントリーホール)

14日 パブロ・エラス=カサド指揮NHK交響楽団 アウグスティン・ハーデリヒ(Vn)(サントリーホール)🐶

15日 インゴルフ・トゥルバン(Vn)&サヴァリッシュ朋子(Pf)(スタインウェイ表参道)

16日 アンドレアス・オッテンザマー指揮愛知室内オーケストラ 中江早希(Sop)(しらかわホール)❤️

17日 エリアフ・インバル指揮東京都交響楽団 ジェイ・レディモア(語り)冨平安希子(Sop) 新国立劇場合唱団 (サントリーホール)

18日 東京文化会館「ラヴェル最期の日々」(小ホール)❤️

22日 エリアフ・インバル指揮東京都交響楽団 (東京芸術劇場コンサートホール)

24日 鈴木優人指揮バッハ・コレギウム・ジャパン「魔笛」(めぐろパーシモンホール)

25日 小林美恵(Vn)津田裕也(Pf) (Hakujuホール)❤️

27日 チョン・ミョンフン指揮東京フィルハーモニー交響楽団 (東京オペラシティコンサートホール)

28日 東京二期会「タンホイザー」 (東京文化会館第ホール)

❤️は「音楽の友」誌、🐶は「毎日クラシックナビ」の「速リポ」にレビューを執筆


日本が生んだ世界的指揮者の第1号、小澤征爾が6日に亡くなり、9日の山田指揮読響の定期公演中に伝わった。後半は奇しくも小澤がニューヨーク・フィルハーモニックと世界初演した武満徹の「ノーヴェンバー・ステップス」、しかも当時と同じベートーヴェン「交響曲第2番」の組み合わせという偶然も加わり、白熱の名演奏となった。今年3月末で首席客演指揮者の任期を終える前の山田と読響の最後の演奏を3プログラムとも聴いたが、この日が傑出していた。日本での退路を断ち、世界規模のキャリアへ大きく踏み出す山田が今後、どこまで小澤の足跡に迫れるのか?期待は十分に大きいが、巨星小澤のもたらした喪失感はさらに大きく、私たちは追悼記事の執筆に終われた。「音楽の友」4月号では6年前の拙稿に手を入れ、「モーストリー・クラシック」では4月号に速報と矢部達哉(Vn)のコメントをたたき込み、5月号に「ウィーンの小澤征爾」の書き下ろし、「intoxicate」には四季報などについて書いた。続く井上道義の引退(2024年末)もカウントダウンに入っている。そうした中、小澤より5か月年少なだけのインバル、88歳の精力的な演奏は驚異だった。


日本の亀井聖矢、韓国のイム・ユンチャン、指揮者でもあるフィンランドのミカエル・ロポネンと、20代はじめのピアニスト3人をたて続けに聴いた限り、演奏芸術の未来自体には何の不安もない。それは単なるリップサービスではなく、若い頃から聴き重ね、今や中堅の域でそれぞれ見事な円熟をみせる藤原道山、北村朋幹、津田裕也、小林美恵、パブロ・エラス=カサドらの存在を通じても、はっきりと断言できる現実だ。クラリネットから指揮に歩を進めたオッテンザマー弟のアンドレアス、ピアノから指揮に進んだ大井駿、東京フィルと実績を積む出口大地ら指揮者の場合、円熟までに要する時間は器楽奏者や声楽家よりも長いだろうが、同じように長い目でじっくり、見守っていきたいと思う。


オペラでは二期会の「タンホイザー」が良かった。2021年のコロナ禍中、極めて大きな制約の中で上演したキース・ウォーナー演出のリベンジ上演で、ようやく全貌を現した。とりわけ日本人、さらにいえば男声歌手のドイツ語が素晴らしく、アクセル・コーバー指揮読響も極めてユニークで美しい管弦楽を奏でた。才人・加藤昌則が演劇、舞踊とコラボレートした東京文化会館制作の「ラヴェル最期の日々」も面白い舞台で、10代からラヴェルに傾倒してきた自分にとっても、色々と考えさせられ、示唆に富む設定だった。





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