前橋汀子「次はプロコフィエフ」
- 池田卓夫 Takuo Ikeda

- 4月15日
- 読了時間: 2分

ヴァイオリン界のレジェンド、前橋汀子が「2026年日本ツアー」の主軸にプロコフィエフの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」(第1番と第2番)を据えた。
ここ数年は「J・S・バッハ、ベートーヴェン、ブラームスと取り組んできましたが、最近、10代を過ごした1960年代末の旧ソ連を懐かしく思い出すようになりました」といい、プロコフィエフに戻ってきた。「第2番のソナタの作曲は1943年なので、私と同い年です」
前橋は17歳の時、旧ソ連国立レニングラード(現サンクトペテルブルク)音楽院初の日本人留学生に選ばれ、ミハイル・ヴァイマンに師事した。日本ですでに弾いていたチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」のレッスンを受ける際、ヴァイマンに「《エフゲニ・オネーギン》のオペラを観たことはあるか?プーシキンの文学を読んだことはあるか?」と問われ総合芸術への目を啓(ひら)かれた、と聞いたことがある。プロコフィエフの作品に関しても「レッスンを受けるだけでなく、キーロフ(現マリンスキー)劇場で観たオペラの《戦争と平和》《賭博師》、バレエの《ロメオとジュリエット》《シンデレラ》《石の花》…と素晴らしい舞台が今も目に焼きついています」。60年以上が過ぎた今、「改めてプロコフィエフに取り組みたいと思いました」と、選曲の背景を語る。
2026年6月のツアーは13日の大阪ザ・シンフォニーホールから28日の東京サントリーホールまで、9都市を回る。大阪だけソナタがモーツァルト(第17番K.296)とフランクだが、他8公演では第1番か2番のいずれか1曲、プロコフィエフを弾く。最終日のサントリーホールは「前橋汀子アフタヌーンコンサートVol.22」と題して盛りだくさんの小品を並べつつ、前半の最後にプロコフィエフの第2番、後半の最後にフランクのソナタを演奏する。

ピアノはベートーヴェン、ブラームスのソナタ全曲録音(ソニーミュージック)でも共演した長年のデュオ・パートナー、ヴァハン・マルディロシアンが担う。1975年に旧ソ連の一角だったアルメニア共和国の首都エレヴァンに生まれ、ロシア式の音楽の基礎教育を受けた後にパリ音楽院を卒業。ピアノのソリストだけでなくイヴリー・ギトリス(ヴァイオリン)、ムスティラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)らの伴奏者としても高い評価を得た後、指揮のキャリアを本格化させた。現在はベルギーのワロニー王立室内管弦楽団音楽監督と中国の香港市室内管弦楽団の首席指揮者。準備が順調に進めば前橋とマルディロシアンは今回のツアー前後、プロコフィエフのソナタのレコーディングも実現させる方向で動いている。
写真提供=ソニー ミュージック



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