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ドゥバルグ・岡本拓也・インテグラ

執筆者の写真: 池田卓夫 Takuo Ikeda池田卓夫 Takuo Ikeda

クラシックディスク・今月の3点(2024年2月)


じっくり、静かに個性を味わう

フォーレ「ピアノ独奏曲全集」

リュカ・ドゥバルグ(ピアノ)

●CD1 3つの言葉のないロマンス 作品17バラード 作品19即興曲第1番舟歌第1番ワルツ・カプリス第1番即興曲第2番マズルカ作品323つの夜想曲作品33

●CD2 即興曲第3番夜想曲第4番夜想曲第5番ワルツ・カプリス第2番舟歌第2番舟歌第3番舟歌第4番ワルツ・カプリス第3番ワルツ・カプリス第4番夜想曲第6番

●CD3 舟歌第5番舟歌第6番主題と変奏 作品73夜想曲第7番8つの小品 作品84舟歌第7番即興曲第4番舟歌第8番夜想曲第9番

●CD4 夜想曲第10番舟歌第9番即興曲第5番9つの前奏曲作品1032つの小品 作品104舟歌第11番舟歌第12番夜想曲第12番舟歌第13番夜想曲第13番


1990年生まれのフランス人ピアニスト、ドゥバルグによるフォーレ没後100年記念盤。2020年以降のコロナ禍中に徹底して初見演奏に没頭し、フォーレを再発見したという。「音楽の喜びにあふれ、私を人間としても音楽家としても変えてしまった」と振り返る。録音には「2015年に出会い、2020年末に弾きこなせるようになったと感じた」という最新の楽器、ステファン・ボレロ制作の「Opus102」を使用、通常の88鍵ではなく102鍵を備えた「革新的なコンサートグランドピアノ」は「フォーレのピアノ独奏曲には理想的な楽器だった」 演奏者が詳細な解説も書き下ろし、作品ジャンル別ではなく、ほぼ作曲年代順に編集したことで、ドゥバルグ独自のフォーレ解釈をディスク4枚、じっくりと味わえる。


2021年2月15〜20日、4月20〜26日、2022年6月27日〜7月3日、フランス・ヴィルティエリーのステファン・パウレッロ・ワークショップ&レコーディング・スタジオで録音。

(ソニーミュージック)


「Les Bergeries」(牧歌)

岡本拓也(ギター)

1. ヴァイス - プレリュードト長調(岡本編)

2. リュリ - スカラムーシュのシャコンヌ 

3. J.S.バッハ - 主よ人の望みの喜びよ BWV147(岡本編)

4. クープラン - 神秘の壁 (岡本編)

5. J.S.バッハ - あなたがそばにいてくださるならば BWV 508(岡本編)

6. J.S.バッハ - 目覚めよと呼ぶ声あり BWV645(ラッセル編)

7. ラモー - ポリュムニアのアントレ (岡本編)

8. パーセル - もしも愛が甘き情念ならば(岡本編)

9. シューベルト - セレナーデ(メルツ編)

10. シューベルト - 涙の賛美 (メルツ編)

11. メルツ - マルヴィーナへ 

12. メルツ - 遥かなるあなたへ 

13. メルツ - 無言歌 

14. R.シューマン - 「ミルテの花 Op.25」より 献呈 (岡本編)

15. R.シューマン - 「ミルテの花 Op.25」より はすの花(岡本編)

16. R.シューマン - 「ミルテの花 Op.25」より くるみの木(岡本編)

17. R.シューマン - トロイメライ (バリオス編)

18. クープラン - 牧歌(岡本編)

岡本は千葉県浦安市出身、10歳でギターを始め、2018年11月にウィーン国立音楽・表現芸術大学大学院修士課程を満場一致最優秀の成績で修了した。内外のコンクールで上位入賞、30代前半に差しかかった現在、演奏の味わいもどんどん増している。3枚目のアルバムでは「美しい響きと出会う瞬間」の記憶を出発点に、おなじみの名曲の数々を自身、あるいは歴代の名ギタリストの編曲で集めた。19世紀ギターの音色も心地よく、しっとりと、心に響く音楽だ。


2023年10月17〜19日、千葉県美浜文化ホールの音楽ホールで録音。

(Takuya Okamoto)


クァルテット・インテグラ

ハイドン「弦楽四重奏曲第63番《日の出》」/ ドビュッシー「弦楽四重奏曲」


インテグラは2015年、桐朋学園大学音楽学部在学中の4人で結成、2022年のARD(ミュンヘン)国際音楽コンクール弦楽四重奏部門で第2位と聴衆賞を獲得、現在はロサンゼルスのコルバーン・スクールに、レジデンス・アーティストとして在籍する。2024年3月にチェロ奏者がパク・イェウンに替わったが、この2023年6月27日、東京・三鷹市芸術文化センター「風のホール」でのセッション録音では第1ヴァイオリン=三澤響果、第2ヴァイオリン=菊野凛太郎、ヴィオラ=山本一輝、チェロ=菊地杏里のオリジナルメンバーで行った。


ハイドンとドビュッシー。およそ100年の時代を隔てた弦楽四重奏の名曲2つに真正面から挑み、いくぶんの硬さも残しつつ、音楽の深いところへ一心に突き進んでいくさまは、気鋭のチームにふさわしい。今度どのように花を開かせていくだろうか? と大きな期待を抱かせる、実に清々しい演奏に仕上がった。

(ライヴノーツ=ナミ・レコード)





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