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  • 執筆者の写真池田卓夫 Takuo Ikeda

オペラ、バレエ、演劇…舞台芸術に酔う

今月のパフォーマンス・サマリー(2023年5月)


メトロポリタン歌劇場「ドン・ジョヴァンニ」Photo: Karen Almond / Met Opera

2日 新国立劇場バレエ「シェイクスピア・ダブルビル《マクベス》《夏の夜の夢》」(オペラパレス)

3日 秋山和慶指揮NHK交響楽団、田部京子(Pf) (東京文化会館大ホール)

7日 三河市民オペラ ジョルダーノ《アンドレア・シェニエ》 (アイプラザ豊橋)

11日 クリストフ・エッシェンバッハ指揮ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団、五嶋みどり(Vn) (サントリーホール)

12日 大瀧拓哉(Pf) (サロン・テッセラ=三軒茶屋)❤️

14日 ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団 R・シュトラウス《エレクトラ》(サントリーホール)

16日 B→C「大西宇宙(Br)」 (東京オペラシティ・リサイタルホール)❤️

[ニューヨーク編]

20日 モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》(メトロポリタン歌劇場)⭐️

21日 トム・ストッパード《レオポルドシュタット》(演劇) (ロングエーカー劇場)

22日 モーツァルト《魔笛》 (メトロポリタン歌劇場)

23日 大阪国際音楽コンクール&セシリア国際音楽コンクール入賞者ガラコンサート (カーネギーホール/ワイル・リサイタル・ホール) https://www.iketakuhonpo.com/post/大阪国際音楽コンクールの入賞者ガラ、4年ぶりにカーネギー・ワイルhで開催

[再び日本]

26日昼 Kバレエ プッチーニ/熊川哲也《蝶々夫人》 (東京文化会館大ホール)

26日夜 花房晴美(Pf)室内楽シリーズvol.23  (東京文化会館小ホール)❤️

27日昼 外山雄三指揮パシフィック・フィルハーモニア東京第156回定期演奏会 (東京芸術劇場コンサートホール)❤️

27日夜 ディアナ・ダムラウ(Sop)&ニコラ・テステ(Bs)オペラ・アリア・コンサート (サントリーホール)❤️

28日 NISSAYオペラ・シリーズ ケルビーニ《メデア》 (日生劇場)

29日 尾高忠明指揮東京都交響楽団第976回定期演奏会、アンナ・ヴィニツカヤ(Pf) (東京文化会館大ホール)

30日 新国立劇場オペラ《サロメ》 (オペラパレス)⭐️

31日 新国立劇場オペラ《リゴレット》 (オペラパレス)⭐️

️※❤️は「音楽の友」誌、⭐️は「オン★ステージ新聞」に単独レビューを掲載予定


1年ぶりの米国も含め、オペラとバレエ、ストレートプレイあわせ10本(《エレクトラ》演奏会形式上演もカウント)の舞台を観た。とりわけメトロポリタン歌劇場(MET)、イヴォ・ヴァン・ホーヴェ新演出の《ドン・ジョヴァンニ》と新国立劇場定番の故アウグスト・エーファーディンク演出の《サロメ》と新旧両極端のプロダクションを通じて「オペラの観せ方(魅せ方)」の何たるかを考える機会を授かった。METのモーツァルトではコントラルト歌手出身のナタリー・シュトゥッツマンのピリオド奏法を踏まえた軽やかに歌うフレージング、東響の《エレクトラ》ではドイツ語圏の歌劇場で基礎から積み上げたにもかかわらず因習に拘泥しないノットの流線形アプローチにそれぞれ、オペラ指揮の新しい潮流を感じた。一方、三河の《シェニエ》と日比谷の《メデア》における園田隆一郎、新国立劇場《サロメ》のコンスタンティン・トリンクス、《リゴレット》のマウリツィオ・ベニーニらオペラを熟知、歌手を万全に支えながら自然に感興を盛り上げる職人的指揮も健在だった。


《レオポルドシュタット》は昨年、新国立劇場で日本語上演に接したばかり。いつもミュージカルを観るブロードウェーの劇場で初めて、原語(英語)のストレートプレイに挑んだ。ウィーンのユダヤ人ファミリーが体験した19世紀末の富の絶頂、1930−40年代ナチスのホロコースト(大量虐殺)、終戦直後の虚無的世界の三題話ノンストップ2時間強は同じながら、ユダヤ系住民が多いニューヨークで観る時に走る戦慄--とりわけ終盤の「アウシュヴィッツ」のセリフ連発に凍りつく体験は強烈だった。新国立劇場が世界初演した《マクベス》、熊川哲也による《蝶々夫人》それぞれのバレエ版では前年の《ジゼル》(新国立劇場)に続き、日本のダンサーの(演劇的)演技力の飛躍的向上に目をみはった。前者ではスコットランド人でありながら画家アルフォンスの息子で作家のイルジの妻となり、生涯の主要部分を共産主義時代のチェコ・スロヴァキアで過ごした女性作曲家ジェラルディン・ミュシャが作曲した「バレエ音楽《マクベス》」掘り起こしという興味深い副産物を伴った。


秋山和慶、外山雄三、尾高忠明と在京オーケストラに客演した3人の日本人指揮者、ベルリンのパートナーと来日したエッシェンバッハは皆、ヴェテランらしい味わいを発揮したが、外山が演奏中に力尽き、途中退場したのは衝撃の展開だった。一切の中断なく演奏を貫徹した楽員、中でもコンサートマスター執行恒宏の健闘を讃えるにやぶさかではないが、1931年生まれと高齢のマエストロの今後が心配だ。同じ日の夜に聴いたダムラウ&テステ夫妻の温かな美声の饗宴に、とても救われた思いがした。


30歳代の中堅ソリスト2人、バリトン大西宇宙とピアノ大瀧拓哉は余人をもって代え難いレパートリーを携え、日本の音楽界に欠かせない存在となりつつある実態を強く印象づけた。

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