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執筆者の写真池田卓夫 Takuo Ikeda

ついに訪れたエッシェンバッハの円熟

更新日:5月28日

今月のパフォーマンス・サマリー(2024年4月)


ブルックナー「第7」1曲のN響定期終演後のエッシェンバッハ

1日 東京・春・音楽祭 吉井瑞穂(Ob)&川口成彦(Fp&Cem)(東京文化会館小ホール)

2日 有楽町マリオンオペラ オペラショウ《ラ・ボエーム》日本語版(有楽町朝日ホール)

3日 大野和士指揮東京都交響楽団 藤村実穂子(Ms)(サントリーホール)

4日 CONCERTO STAGE 2024東京公演 大井駿指揮(大和田伝承ホール)

5日 北村陽(Vc)ランチタイムコンサート (トッパンホール)❤️

7日 東京・春・音楽祭 マレク・ヤノフスキ指揮NHK交響楽団 《指環》名場面集(東京文化会館大ホール)

8日 東京・春・音楽祭 アンサンブル・アンンテルコンタンポラン (東京文化会館小ホール)

11日 東京・春・音楽祭《ラ・ボエーム》ピエール・ジョルジョ・モランディ指揮(東京文化会館大ホール)🎻

12日 東京・春・音楽祭 コンスタンティン・クリンメル(Br)&ダニエル・ハイデ(Pf)(東京文化会館小ホール)❤️

13日昼 東京・春・音楽祭 ローター・ケーニヒス指揮東京都交響楽団&東京オペラシンガーズほか (東京文化会館大ホール)

13日夜 マレク・ヤノフスキ指揮NHK交響楽団 (NHKホール)

14日 オーケストラ福山定期1〜クリスティアン・アルミンク指揮広島交響楽団 (福山リーデンローズ大ホール)🍏

17日 東京・春・音楽祭《アイーダ》リッカルド・ムーティ指揮 (東京文化会館大ホール)⭐️

18日 東京・春・音楽祭《エレクトラ》セバスティアン・ヴァイグレ指揮(東京文化会館大ホール)⭐️

19日 クリストフ・エッシェンバッハ指揮NHK交響楽団(ブルックナー、NHKホール)🐶

20日 沼尻竜典指揮神奈川フィルハーモニー管弦楽団(横浜みなとみらいホール)

21日 江東オペラ《カヴァレリア・ルスティカーナ》《道化師》(ティアラこうとう大ホール)

25日 クリストフ・エッシェンバッハ指揮NHK交響楽団 キアン・ソルターニ(チェロ)(シューマン、サントリーホール)

26日 山下一史指揮大阪交響楽団 森下幸路(Vn)外山雄三特集(ザ・シンフォニーホール)❤️

27日 レオンコロ弦楽四重奏団 (第一生命ホール)🍏

28日 セバスティアン・ヴァイグレ指揮読売日本交響楽団 (横浜みなとみらい大ホール)

29日 伊藤恵(Pf)(紀尾井ホール)❤️

❤️は「音楽の友」、🍏は「モーストリー・クラシック」、⭐️は「オン⭐️ステージ新聞」、🐶は「毎日クラシックナビ」にレビューまたは記事を執筆


ゴールデンウィークにコンクール審査、ラ・フォル・ジュルネ…と飛び回っていたら、4月のレビューを書くのが大幅に遅れた。前半はとにかく「東京・春・音楽祭2024」の充実した公演を堪能した。中でもムーティ指揮の《アイーダ》、ヴァイグレ指揮の《エレクトラ》と大詰めにきて超弩級の名演奏が現れ、音楽祭20周年の充実を実感した。ブルックナー生誕200年で交響曲より演奏頻度の低い「ミサ曲第3番」も聴けたし、シュトゥットガルト音楽大学で日本人の吉原輝教授に師事したドイツの新進バリトン、クリンメルがシューベルト《美しい水車屋の娘》のアンコールに畑中良輔の歌曲を披露したのも素晴らしい収穫。


ブルックナーでいえばエッシェンバッハがN響で指揮した「交響曲第7番」に、自分でもびっくりするほどの感銘を受けた。「毎日クラシックナビ」の「速リポ」拙稿URLを貼り付けたので、ご一読ください。もともと精神的に複雑な音楽家ではあったが、ピアノから指揮に活動の比重を移してからかなりの間、技術面の不足が本領発揮の足を引っ張っていた。今回も決して巧みな棒さばきではないものの、オーケストラと深いところで意思を疎通するコミュニケーション能力がいよいよ、崇高な次元まで到達したのではないかと思った。ピアノでも得意だったシューマンのプログラムが一層の出来栄えだったにもかかわらず、個人的にはブルックナーでの成果が心に残る。


ドイツで日本人に師事したバリトンの次は、ヨーロッパ育ちの日本人とドイツ人と日本人の間に生まれた兄弟が中心の室内楽! レオンコロ弦楽四重奏団の鮮やかな日本デビューは、文化の融合という視点からも非常に興味深く、しかも圧倒的な高水準で客席を圧倒した。


広島交響楽団の新しい音楽監督アルミンクが福山で指揮した《アルプス交響曲》、常任指揮者の山下一史とソロ・コンサートマスター森下幸路が渾身の力を込めた「オール外山雄三作品」の大阪交響楽団定期は遠路はるばる出かけた甲斐のある公演だった。

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