今月のパフォーマンス・サマリー(2024年7月)
3日 フランチェスコ・トリスターノ(Pf&Kb) (ヤマハホール)❤️
5日 ヤクブ・フルシャ指揮東京都交響楽団 (サントリーホール)
6日 HISASHI(Vo) x 廻 由美子(Pf)~カバレット!ホランダーと林光~ (B-Tech)
7日 名古屋テアトロ管弦楽団&合唱団 ヴェルディ「椿姫」(東海市芸術劇場)
9日 ペトル・ポペルカ指揮プラハ放送交響楽団「我が祖国」全曲 (高崎芸術劇場)🎻
11日昼 中木健二(Vc)&徳永真一郎(G) (王子ホール)
11日夜 日本製鉄音楽賞受賞記念コンサート 金川真弓(Vn)(紀尾井ホール)
12日&13日 佐渡裕プロデュースオペラ プッチーニ「蝶々夫人」主演=迫田美帆、高野百合絵(兵庫県立芸術文化センター)🍏
14日 レ・フレール&アンセットシス (オーチャードホール)❤️
15日 クオーレ・ド・オペラ ヴェルディ「リゴレット」(イタリア文化会館ホール)
16日昼 新国立劇場 高校生のためのオペラ教室 プッチーニ「トスカ」(オペラハウス)
16日夜 ヨルゲン・ファン・ライエン(Tb)&アルマSQ (王子ホール)❤️
17日昼 東京二期会プッチーニ「蝶々夫人」ゲネプロ 高橋絵里組 (東京文化会館大ホール)🐶
17日夜 田中晶子(Vn)&安達朋博(Pf) (五反田文化センターホール)
18日 東京二期会プッチーニ「蝶々夫人」初日 大村博美組 (東京文化会館大ホール)🐶
19日 エリアス・グランディ指揮読売日本交響楽団 マリー=アンジュ・グッチ(Pf)(サントリーホール)
20日昼 井上道義指揮神奈川フィルハーモニー管弦楽団 松田華音(Pf) (横浜みなとみらい大ホール)❤️
20日夜 ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団 (サントリーホール)
21日 「桐」五重奏団50周年記念演奏会 (東京文化会館小ホール)❤️
23日 アラン・ギルバート指揮東京都交響楽団 池松宏(Cb)(サントリーホール)
24日 小林研一郎指揮東京フィルハーモニー交響楽団 児玉隼人(Tp)(サントリーホール)
25日 新国立劇場オペラ・ストゥディオ サマーコンサート2024 (新国立劇場小劇場)
27日 ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団 (ミューザ川崎シンフォニーホール)🐶
28日昼 日本テレマン協会 高田泰治(Cem)(東京文化会館小ホール)
28日夜 サマーナイト・ジャズ~小曽根真(Pf)×ライジングスターfrom Ozone till Dawn (ミューザ川崎シンフォニーホール)❤️
29日 ダン・エッティンガー指揮東京フィルハーモニー交響楽団 阪田知樹(Pf)(サントリーホール)
30日 マンフレート・ホーネック指揮PMFオーケストラ2024 ティル・フェルナー(ピアノ)
(サントリーホール)
31日 沖澤のどか指揮読売日本交響楽団 阪田知樹(Pf) 大木麻理(Org)(ミューザ川崎シンフォニーホール)
※❤️は「音楽の友」、🍏は「モーストリー・クラシック」、🎻は「サラサーテ」、🐶は「毎日クラシックナビ」、に記事またはレビューを執筆
色々な街でオペラやオーケストラに接した中、群馬県高崎市で聴いたチェコの新鋭ポペルカとプラハ放送響の「我が祖国」に最も深い感銘を受けた。世代交代した若々しい楽団ならではの機動性や輝きを放ちながらもスメタナの音楽、作品のストーリーへの深い共感を保ち、情熱の限りを尽くして歌い上げるチームワークに目をみはる。ポペルカは最近までオケマン(シュターツカペレ・ドレスデンのコントラバス奏者で指揮者専業に転じたのは2016年)だっただけに全員の自発性を尊重、熱い音楽をごく自然に引き出しつつバランスも整え、随所で大胆な即興も発揮して、スリルに満ちたライヴに仕上げた。休憩もアンコールもなく、この6曲に全てをかけた気迫も凄まじかった。
生誕200周年のブルックナーの交響曲は第4番「ロマンティック」をフルシャ指揮都響とエッティンガー指揮東京フィル、第7番をノット指揮東響で聴いた。あくまで自分がイメージするブルックナーという点では、エッティンガーのたっぷり歌い込みつつ、現代のバランス感覚も備えた演奏に最も共感した。都響も悪くなかったが、金管楽器群が冴えを欠き、パワフルな東京フィルに一歩譲った。井上道義は神奈川フィルと最後の共演を飾った後に再び入院、周囲をハラハラさせ続けている。ノットと東響のコンビを久々に聴き、常識にとらわれない大胆不敵なアプローチの健在を嬉しく思った。ホーネックはPMFのエリート集団を豪快に鳴らした半面、ノットの対極にある健全で豪快なマーラーには、ちょっと戸惑った。
オペラではプッチーニを5回、ヴェルディを2回鑑賞。どこか1つでも歯車が狂うと、全体の印象が萎んでしまう恐ろしさを改めて思い知った。「蝶々夫人」を演じた4人のプリマの中では、兵庫の初日を飾った迫田美帆が圧倒的に優れていた。そこで久々に接した栗山昌良の演出からは今も学ぶべきことが多く、生前のご親切にも改めて感謝の気持ちを抱いた。二期会の公演ではピットのエッティンガー指揮東京フィルの演奏が素晴らしく、せっかく桂冠指揮者の称号を与えているのだから定期も含め、もっと頻繁に呼び戻してほしいと思った。
ピアノでは鍵盤4種類を駆使したトリスターノ、ブギ・ウギのレ・フレールとクラシック系アンセットシスのコラボ、小曽根チームの饗宴など、純クラシックではない公演を楽しんだ。角野隼人(かていん)初の日本武道館公演に行けなかったのが悔やまれるが、動画配信は観た。あの大舞台でショパンほか、クラシックの王道をガッチリ聴かせる胆力があればこそ、自作や即興でも新しい世界を切り拓けるのだと納得した。角野以外の公演はすべて「音楽の友」のレビューに当たっていて、我ながら振れ幅の大きさに唖然。コンセルトヘボウのトロンボーン首席ファン・ライエンとオケの同僚たちによる「トロンボーン五重奏」という未知の領域開拓も非常に洗練され、まだまだ音楽の可能性は無限に広がっていると実感。
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