top of page
  • 執筆者の写真池田卓夫 Takuo Ikeda

「第九」は1つ、鍵盤奏者をたっぷり

今月のパフォーマンス・サマリー(2023年12月)


終わり良ければ、すべて良し!

3日 安嶋健太郎(ピアノ)デビュー25周年リサイタル (王子ホール)

5日 シルヴァン・カンブルラン指揮読売日本交響楽団、ピエール・ロラン=エマール(ピアノ) (サントリーホール)🐶

6日 新国立劇場 J・シュトラウス《こうもり》 (オペラパレス)

8日 新国立劇場 ミュージカル《東京ローズ》 (小劇場)

9日 小倉貴久子(フォルテピアノ、チェンバロ)、川口成彦(同)、オルケストラ デル モンド デル フォルテピアノ(コンサートマスター=丸山韶) (第一生命ホール)❤️

10日 北とぴあ国際音楽祭 ラモー《レ・ボレアード》 (さくらホール)

12日 B→C#257 新野将之(パーカッション) (東京オペラシティリサイタルホール)❤️

13日 フィルハーモニクス ウィーン=ベルリン with 中谷美紀 (東京オペラシティコンサートホール)

15日昼 ランチタイム コンサート 大瀧拓哉(ピアノ) (トッパンホール)

15日夜 ピアニスターHIROSHI(ピアノ) (東京文化会館大ホール)

16日 羽山晃生(テノール)&羽山弘子(ソプラノ)夫妻「25周年記念コンサートin 東京」飯坂純(ピアノ)、ゲスト=池田理代子(ソプラノ)、村田孝高(バリトン) (加賀町ホール)

17日 福間洸太朗(ピアノ) (東京文化会館小ホール)❤️

18日 青木調(ヴァイオリン)&江尻南美(ピアノ) (文京シビックセンター小ホール)

19日 アントニ・ヴィト指揮東京都交響楽団、反田恭平(ピアノ) (サントリーホール)🐶

21日 ヤン=ヴィレム・デ・フリーント指揮読売日本交響楽団「第九」 (サントリーホール)

22日昼 吉井瑞穂(オーボエ)&小倉貴久子(フォルテピアノ) (王子ホール)

22日夜 青柳晋(ピアノ) (Hakujuホール)

23日 川口成彦(ピアノ=1843年製プレイエル)&アルドナ・バルツニク(ソプラノ) (相模湖交流センター)❤️

24日昼 川口成彦(ピアノ=1843年製プレイエル) (相模湖交流センター)❤️

24日夜 北村朋幹(ピアノ) (ムジカーザ)

25日 八木大輔(ピアノ) (ヤマハホール)

29日 ヴィタリ・ユシュマノフ(バリトン)&園田隆一郎(ピアノ) (ヤマハホール)

31日 「MUSAジルベスターコンサート2023」秋山和慶指揮(コンサートマスター=小林壱成)、児玉隼人(トランペット)、小沢咲希(ジャズピアノ)&井上陽介(ベース)&髙橋信之介(ドラム)、中野りな(ヴァイオリン) (ミューザ川崎シンフォニーホール)

❤️は「音楽の友」、🐶は「毎日クラシックナビ」に執筆


ここ数年、新型コロナウイルス(COVID-19)対策で大人数の合唱を伴うベートーヴェンの「第九」(交響曲第9番ニ短調作品125《合唱付》)は随分と肩身の狭い思いをしてきた。その代わり「第九」に関しての特集記事を書く機会が妙に多かった。2023年はテレビ愛知の特集番組(高島礼子さんがパーソナリティー)の中で少し、コメントをするだけで済んだ。本番も指揮者デ・フリーントへのインタヴューと公演批評の仕事が入った読響の1つに絞り、鍵盤楽器のコンサートにたくさん出かけた。「第九」としては旧知の指揮者、村中大祐に頼まれたライヴ盤ライナーノートを執筆するためマーラーのニ長調の研究に没頭した。モダン楽器によるHIP(歴史的情報に基づく演奏)のパイオニアでもあるデ・フリーントの解釈はある意味中庸を得ていて、現代のデフォルトと言える再現に出会えたのは良かった。


オペラ関係はさすがに一服。新国立劇場の《こうもり》はアデーレ、オルロフスキーの外国人女性歌手2人が全く低水準、何故もっと国内の実力派を起用しないのか、不思議で仕方なかった。同じ劇場で2日後に観たフルオーディションキャストの英国発新作ミュージカル、《東京ローズ》日本初演は6人の女性が1人のキャラクター(アイバ・トグリ)を描き分ける藤田俊太郎の演出アイディアも秀逸で極めて高水準の舞台だったので、明暗を分けた。


鍵盤は20歳の八木から50代の青柳、小倉まで百花繚乱。どれも客入りは良く、反田や藤田真央、かてぃん(角野隼斗)ら大ホールのスターとはまた一味違うテイストの「推し」のお客様がついている。とりわけ相模湖で5、6年がかりのショパン全曲演奏会を始めた川口、リストの渋い「巡礼の年」の前後にノーノ、シャリーノ、メシアンを嬉々として弾く北村らの独自路線が強い支持を集めつつあるのは、比較的新しい展開だろう。安嶋、福間、大瀧ら中堅の充実も目覚ましいし、25年にわたり東京文化会館大ホールで弾き続けるHIROSHI、ドイツを拠点に自身のピアニズムを真摯に極める江尻の息の長さにも改めて感心した。


最後はミューザ川崎。82歳のマエストロ秋山は10代の児玉と中野、ジャズの小沢と非常に新鮮なソリストの輝きを最大限に引き出した、シベリウス「交響詩《フィンランディア》」の滋味あふれる名演で1年を締めくくった。私は7歳か8歳の時、渡邉曉雄が指揮する《フィンランディア》をテレビで見て、クラシック音楽の魅力に目覚めた。初期高齢者の仲間入りを果たした2023年、この曲への感動を新たにして終えられる幸せに、心から感謝する。


皆さま1年間、お世話になりました。来年も日々、素晴らしい音楽と出会えますように。良いお年をお迎えください。

閲覧数:369回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page